牢獄
「ッック」
顔に感じる痛みと、昔火傷した時と同じような全身をヒリヒリとした痛みで意識が覚醒する。
目を開けたはずなのに真っ暗なままの視界に、ついに盲目にまでなったのではと一瞬動揺するも、次第に目が暗闇に順応していく事でホッと安堵する。
大分目が慣れてきたところで辺りを見回してみると、そこは牢獄のようだった。
6畳ほどの大きさで、檻の外側には通路が見える。
床や壁が石造りの独房。
明かりが一切入っていないことから、地下にでも造られているのだろう。
目が覚めてからどれだけの時間が経ったのかわからない。
5分?10分?1時間?体内時計が狂っていくのがわかる。
この空間でどれだけ居るのか分からない為、ひとまず自分が覚えている事を整理する。
「確か俺は夏休み明けの始業式に参加する為に学校に行ったよな…」
孤独感を紛らわせるために声に出していく。
「ホームルームが始まってすぐ、魔王を倒すためにクラスごと異世界に召喚された。それであの女が元の世界に帰るには膨大な魔力がとか言って…」
その後は、
「協力したいからとステータスを開示して…俺一人だけ残されて、豹変したアンスリウムに隷属の首輪を嵌められ悔しくて反抗したら…気絶してこの場にいると。」
うん、全部思い出した。
相変わらず何でこんな扱いをされているのかは不明だが、とりあえずこれだけは言える。
アンスリウムやカインは俺にとって敵だ。
人類のために戦うとか言っておいて人類である俺にこんな扱いをする時点で察しである。
魔物に見えたとかいうなよ?
とりあえず今魔王軍に勧誘されたらサブスク登録する感覚で入っちゃうくらい、イヴェール王国への好感度落ちたわ。
元々好きでも無いけどね。
時間感覚はわからないけど、空腹感が苦しいほどでは無いから、経っていても一日やそこらだろう。
せっかく貴重であるという隷属の首輪を使ったんだ、このまま餓死させるとかはしないはずだからその辺は心配ないはず。
確認するように首を手で触ってみるとツルツルとした首輪の感触がある。
「クソっ」
アンスリウムが言うにはこれは魔法でも剣でも決して壊れないという。
だがここで諦めるという選択をする程俺は柔じゃない。
前の世界でも散々絶望してきたんだ。
この程度で諦めてたまるか、俺は負けず嫌いなんだ。
それに腐っても俺は勇者で、この世界には不思議な力が存在している。
ならいくらでも足掻いてやるさ。
どんなに無駄と笑われたとしても。
何か方法がないかとステータスを開く。
【 名 前 】
【 称 号 】異世界人 疎まれる者
不撓不屈 アンリのおもちや
【 種 族 】人
【 年 齢 】16
【 レベル 】1
【 体 力 】46/80
【 魔 力 】200/200
【 精 神 】−15→−55
【 スキル 】火耐性Lv.3 精神耐性Lv.4→5
危険察知Lv.2 気配隠蔽Lv.1
New 雷耐性Lv.1
【固有スキル】ボックス▼
万物を異空間に収納する。
称号に不名誉なやつ増えてるし、最悪。
絶対に抜け出してやる。
うわ。体力半分になってるじゃん。
いっそ反抗しまくって何回かアンスリウム殴ろうと思ったけど無理だな。
下手すりゃ死ぬ。
あれめちゃくちゃ痛いし、既にもう身体ボロボロだし。
でも、雷耐性も新しく獲得してるしワンチャンいけるか?
殴れなくても、雷耐性上がるしなしではないか?
これはアンスリウムの反応次第だな。
別に死んでも構わないと言う態度なら、やめておいたほうがいいだろう。
ただ楽には殺さないというギリギリまで痛ぶる感じなら、ある程度無茶してみるのもいいかもしれない。
精神が鬱モードに突入してるけど、考えないようにしよう。
一度呑まれると戻れないかもしれないし。
そして、奴隷を抜け出す唯一の希望と言ってもいい固有スキル、ボックス。
俺の勘ではこれが突破口になるはずだ。
アンスリウムがいつくるかわからない。
だから、早めにこの能力を把握しておかないとな。
スキルの使い方などわかっていない俺は、なんとなくアニメとかで得た知識を活用し、右手を前に突き出してこう呟く…
「ボックス!!」
____________________
あとがき
明日も朝と夜の2話投稿の予定です。
am:pm8:00
☆・♡待ってます!
フォローも!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます