side.アンスリウム


「あ、あ、ありえない。ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない…」


 アンスリウムは今目の前で起こったことが信じられなかった。


「隷属の首輪が?」


 そんなことあって良いはずがない。


 どんな御伽噺に出てくる偉人だろうと決して外すことができないといわれる隷属の首輪。


 実際どんな高位冒険者が壊そうとしても無理だったと伝え聞いています。


 どんな強力な魔法を放っても、どんな強力な武器で攻撃したとしてもです。


 それは勇者だとしても例外ではないはず…


 過去、勇者が召喚されたことは何度かあります。


 ですが隷属の首輪を外したなんて話聞いたこともないです。


 それこそ勇者が行った偉業なら必ず王家の人間が後世に残しているはずです。


 王女である私がそれを知らないはずがない。


 そうじゃないとしても噂ぐらいが残っても良いはずです。


 吟遊詩人なんて日々ネタに飢えているのですから、そんな噂があったら格好の的じゃないですか。


 ですが聞いたこともないです…そんな話。


 だからこそ好き勝手やりました…


 王国の勝手な都合で召喚された勇者であっても奴隷に落としたし、監禁して、拷問して、食事も満足に与えなかった。


 私のおもちゃだと思っていたから。

 抜け出すことなど不可能だと思っていたから。


 歴代のどんな偉人でもできなかったことを目の前の男が成し得るなんて考えてすらいなかった…


 彼のスキルは確かボックスとかいう収納するしか脳のない無能のはず。


 アイテムボックスという固有スキルは確かに珍しいですが、今やマジックバックという魔法道具があります。

 

 不要の産物のはず…でした。


 アイテムボックスで装着された隷属の首輪を外すなんて所業ができるでしょうか。


 まず無理です。


 そもそも特定のものを収納するなんて不可能なはずです。


 水の入ったコップを収納したら水ごと収納されるし、身につけているものを収納したいなら一度外してからじゃないと機能しない。


 これは収納、これは収納しないの取捨選択などできるはずがない。


 そういうもののはずなのに………無能ではなかった?


 蓋を開けてみれば種は簡単。

 勇者が勇者たり得る能力を持っていただけ…ただそれだけ。


 たった一週間でこの国いや世界の常識を覆してしまった規格外の存在を前にして、アンスリウムはただただ震えるしかなかった。


 自身の我儘で行ってきた数々の所業を反芻しながら…そして今自身の首についている隷属の首輪の意味を察して。




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