51.逆位置の恋人/きょうじゅ

作品名:逆位置の恋人

作者名:きょうじゅ

性癖:チョロイン

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330657879454301


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 第二回と第四回の性癖小説選手権に参加いただき、論理的や精神的や状況的に望み通りにはならないという感じの作品を投稿頂いている方です。


 今作もその様に「望み通りにはならない」という思いがひしひしと伝わってくる作品で、どう見ても甘々な恋人関係なのにも関わらず発する言葉は「嫌い」だけです。

 本文自体は約三十文字しかないという短い文章ながらも、唇を話した後に「嫌い」というのが四度目で、且つ「甘く蕩けるような声」で言っているというで二人の関係性が分かり、相手側が素直じゃない人間というのも伝わってきます。今回だけの関係ではなくそれなりの時間をかけて構築された只ならぬ関係なんでしょう。描写だけで情景を伝えるのが上手いのは流石です。

 更には性癖に散々と輝く『チョロイン』という文字。こんなに口で嫌がっていて大人な雰囲気を出しているのに『チョロイン』なんですか。めちゃくちゃいいじゃないですか! 普段はクールな大人な女性のイメージなのにキスをするとスイッチが入ってラブラブモードに入ってしまう!しかし、口から出る言葉は「嫌い」。いいですね。ナイス素直じゃないヒロイン! ナイス性癖!

 又、こちらの作品の最大のポイントである「31文字」という点は主催として個人的に高ポイントです。(※主催の好みなだけで合って性癖小説として優れているかは別)性癖小説選手権は普段の作品ではオーバーな表現過ぎて性癖を発揮出来ない方や、性癖を表現するポイントを書き出すまでの道のりが長くて作品を書く気が起きないという方にこそ参加をして頂きたい企画であり、きょうじゅさんの様に「自信の性癖を表現したい部分だけを抽出して書く」という事が寧ろ推奨される企画なのです。性癖の為ならストーリーの前後なんて無くてもいいんですよというのが性癖小説選手権の二次テーマでもあるので、こういった性癖部分だけの作品もばんばん増えて欲しいですね。ただ、逆に性癖を出す部分を溜めてからどーん!と出す方や、性癖部分を何度も出す為に長編を書いているという方もいらっしゃるので、短ければいいという訳ではありません。今回のきょうじゅさんの作品は短いからこその良さが詰まった作品でしたので個人的に好きだなぁという感じです。


 今作は本当にレベルが高く、短くも性癖に溢れていて想像をさせてくれるというお手本の様な作品でした。

 きょうじゅさんは元々の技量が高い方でいらっしゃるからか、こうして性癖を表現するのもとても上手な方です。今回もその高い技術で高レベルの性癖小説を投稿頂いたのですが、主催個人的な希望としてはきょうじゅさんの弾けるような性癖小説も見てみたいと思いました。

 既に性癖小説を書く事が完璧な方の為、普段はやられていない作風ですとか、突き抜けた感じのきょうじゅ作品も見てみたいという我儘ですね。

 しかし、このままきょうじゅさんのやり方で突き進むのもまた見て見たくもあります。

 どちらが正解という事もありませんが、どちらでもきょうじゅさんならば素晴らしい性癖小説を作って頂けるでしょう。今後の作品も期待しています。ご参加ありがとうございます。

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