6.髪、切るなよ/猫茶とすか

作品名:髪、切るなよ

作者名:猫茶とすか

性癖:黒髪長髪男子

性癖:ふだん溌剌としていてそんな部分なさそうなのに、実は内側に自分しか知らないどろどろした独占欲を抱いている子

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330656254269089


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 前回の第四回性癖小説選手権からご参加いただいている猫茶とすかさん。

 男女の関係の仲での心の動きや縛りに関する事を性癖にされている方で、今回の作品も男女の直接的な描写は有りませんが関係を持っているだろうという描写と、内面についての描写をした物になっています。


 内容としては性癖である黒髪長髪の散らばる様やさらさらでツヤのある様、そして男子部分と合わせた閨の席で垂れる様という感じを書き連ねて、いかに『黒髪長髪男子』が良いのかというのを示してくれています。

 単に長ければ良いという物ではなく、家の教えだからと伸ばしているだけなのにしっかりと手入れをしている描写が掛かれているのが性癖の表現として良い部分ですね。夜鴉という恋人(だと思ったけど違うならごめんなさい)に深い理由は教えられてないのに「切るなよ」と言われた事で全く切る気にならなくなったのも人物像を現わす物事としてとても良いですね。同じ『黒髪長髪男子』であっても自分の好きな『黒髪長髪男子』はこの様な人物像であるというのがしっかりと書けています。これは性癖ポイント高いですよ。

 又、そんな『黒髪長髪男子』を自分自身だけでなく登場人物にも好きにさせて物語にしている所が上手いなと思いました。物語性があれば読者は感情移入をする物で、その理由も「争い事の家系で髪が長いのが強さの証だったから。そして長兄もそうだったから」という憧れが混ざった物。殺伐さの中にも微笑ましさのあるエピソードで夜鴉というキャラと共に『黒髪長髪男子』の事にも好感を持ってしまいます。


 そんな『黒髪長髪男子』の性癖小説としてとても良かったのですが、もう一つである『ふだん溌剌としていてそんな部分なさそうなのに、実は内側に自分しか知らないどろどろした独占欲を抱いている子』というのが伝わり難いのが勿体ないなと思いました。

 見た瞬間に漢字が読めなくて『溌剌』についてググったのですが、これで「はつらつ」って読むんですね。

 今作は作中の様子が事後のしっとりとした空気なので、この『ふだん溌剌としていてそんな部分なさそうなのに、実は内側に自分しか知らないどろどろした独占欲を抱いている子』の『溌剌』の部分が感じにくかったように思います。性癖で示して置いてから本文はこんな感じですというギャップで良さを語る事は性癖小説選手権のルールとしては全く問題は無いのですが、やはり本文中にも『溌剌』とした様子が良く分かるエピソードを入れておくと、束縛される事で空いてを束縛したいという様な黒い感情の良さも際立ってくるんじゃないかと思います。


 性癖小説は伝えたいワンシーンだけ伝える書き方でOKなのですが、それでもやはりその性癖がいかに素晴らしいかを伝えるには描写が必要な事もあるのだと思います。

 冗長になりすぎてもダメなので、この辺りの匙加減はとても難しいのです。しかし、性癖の素晴らしさを伝える為にはこの技術はとても重要になってきます。

 『黒髪長髪男子』の部分がとても良かったですし、猫茶とすかさんの今後に期待します!

 ご参加ありがとうございました!


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