17.No time for postmortem/橘 紀里
作品名:No time for postmortem
作者名:橘 紀里
性癖:うさんくさい髭の人(が珍しく髭じゃなかったりする)
性癖:そうはならんやろの二人がどうにかなりそうな雰囲気
性癖:結局絆される
作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330655715749385
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橘 紀里さんは今回からの初めましての方ですね。ご参加ありがとうございます。
英語のタイトルが特徴的なこちらの作品は、大雑把に言えば「髭が似合う怪しい中年男性」と「なんだかんだで断れない青年」の二人のお話なんですが、約3500字の中に含まれている性癖の情報量がとても多い性癖小説になります。
まず、「最近歌舞伎町で再会した元教師と元生徒」という関係があり、「青年は中年に呼び出されて搾取されている」関係で、そんな面倒そうな間柄なのに「最後は中年を庇った青年が銃に打たれてしまう」という物。多いですね。性癖紹介に記された三つの性癖よりも多くの物がこの作品には溢れている様に思えます。
しかし、そういった部分的な性癖よりも、全編を通して感じる、『うさんくさい髭の人(が珍しく髭じゃなかったりする)』が『そうはならんやろの二人がどうにかなりそうな雰囲気』で『結局絆される』という、「元黒髪長髪口は悪いけど寂しがり屋で構ってくれるのを待っている青年」が振り回される主人を選ぶ物語を特に魅せたがっている様に見受けられました。というか性癖にそう書いてありますもんね。そこがアピールしたいポイントでしょう。
タイトルも中々にオシャレで目を引き、物語の内容に合わせて訳すなら
という感じでしょうか。
章タイトルはキャッチコピーに書かれている。
に、なると思います。
この含みを持たせたタイトルはかなりいいですねぇ。
本文でも直接的に描写されていないされていない二人の関係を読者に想像させる構成になっているのですが、こんな意味深なタイトルを付けられたら二人の関係の深みが増します。
また、タイトルだけでなく、提示されている性癖その物も考察を与える物となっているのが橘 紀里さんの性癖小説の特徴なのかもしれません。
『うさんくさい髭の人(が珍しく髭じゃなかったりする)』というのは、本来ならば身だしなみとして剃る髭をわざわざ普段は剃っていないと提示させてから剃っている訳で、「無い事が普通なのにそれが異常である性癖」としていらっしゃいます。
となると、『そうはならんやろの二人がどうにかなりそうな雰囲気』というのも「ならないのが普通なのになってしまう性癖」でして、『結局絆される』も「ならない筈だがなってしまう」と読み取れます。
この、「そうならない物がなんらかの理由でそうなってしまう」というのが橘 紀里さんの性癖の本質であり、その「なんらかの理由」の答えがタイトルに書かれている「No time for postmortem」と「Root Cause Analysis」なのかもしれません。
いや~、タイトルを付けるのが上手い。
タイトルだけで性癖小説としてのレベルが跳ね上がってますね。考察したというより考察させられたという気分になりました。
考察の内容は合っているとは限りませんが、こうして読者に考察をさせている時点で性癖小説として勝ちみたいなものです。
初参加でこんなに上手い作品を投稿頂けるなんて主催としてとても嬉しいですね。出来れば今回だけでなくこれからも性癖小説を書き続けて頂けたらなと思います。
ご参加ありがとうございました。
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