14.先生/神澤直子

作品名:先生

作者名:神澤直子

性癖:シルバーグレイのおっちゃん

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330656388862987


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 第一回の性癖小説選手権からご参加いただいている(という事になっている)神澤直子さんです。

 性癖小説を書くのがかなり上手い方で、その性癖も個人的に好みな物が多いのでで今回もご参加いただけてとても嬉しいですね。


 今作はシルバーグレイという年齢を重ねて白髪の方が多くなってきた髪の色のおっちゃんが性癖の小説となっており、その『シルバーグレイのおっちゃん』がどんな人かというのを女子高生(自己紹介が無いので勝手に女子にしました)が語ってくれる内容になっています。

 それだけの作品なのですが、それだけの作品だからこそ、この女子高生が語る『シルバーグレイのおっちゃん』の先生の事がとても魅力的かつ自然な紹介になっていて凄いの一言に尽きます。

 初めから終わりまで全部『シルバーグレイのおっちゃん』な先生の事だらけなんですが、それなのに起承転結がしっかりと描かれていて「こんな先生がいる、こんな変な部分がある、質問をしてみる、意外なところを知る」という形でとてもスムーズに情報が頭に入ってきます。その上、語り手である女子高生の『シルバーグレイのおっちゃん』な先生の事への興味の変化が読者とリンクする様になっていて、女子高生と一緒に読者も『シルバーグレイのおっちゃん』な先生の事を変わった人扱いから気になる人扱いへと気付かせないうちに認識を変化させています。


 ここが神澤直子さんの性癖小説の上手い部分です。


 性癖小説選手権では提示した性癖をいかに小説の読者に植え付けれるかを競う選手権です。

 こうして読者が登場人物の想う『シルバーグレイのおっちゃん』の姿に共感をするという事は、その時点で神澤直子さんが提示した性癖の『シルバーグレイのおっちゃん』にも共感した事と同じであり、読者は『シルバーグレイのおっちゃん』という性癖の良さの一部を植え付けられているという事です。

 どうですか? 明らかに『シルバーグレイのおっちゃん』という存在に対して、神澤直子さんの性癖小説を読む前と読んだ後で見る目が変わっていませんか?

 もしも大衆の中から『シルバーグレイのおっちゃん』にだけピントが合い、(あの人も神澤直子さんの性癖小説の先生みたいなのかな)と思ってしまったあなた。完全に性癖を植え付けられています。

 性癖の芽が出るかどうかまでは分かりませんが、これが共感型性癖小説のやり方です。本当に上手い。


 マジョリティではない性癖を登場人物に共感させて植え付けるという、共感型性癖小説のお手本の様な作品でした。

 素晴らしい性癖小説をありがとうございます。ご参加ありがとうございました!

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