25.アシンメトリーな少女の憂鬱/蝉時雨杏樹

作品名:アシンメトリーな少女の憂鬱

作者名:蝉時雨杏樹

性癖:側弯症

性癖:左利き

性癖:マスク

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330656573739195


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 


 蝉時雨杏樹さんも今回初参加の方ですね。初参加の方が多くて主催として嬉しい限りです。ご参加ありがとうございます。


 こちらの作品は『側弯症』という病気に罹ってしまった事を悩みながらも日常を過ごす女子高生を書いた作品で、端的な文章やちょっと浅慮なところが女子高生の思考をそのまま記載したように見えるとても女子高生感が溢れる作品です。

 性癖にも書かれている『側弯症』というのは自分は効いたことがない病気だったんですが、作中でも説明されている通りに「背骨が横に曲がる病気で、肩の高さが違う、ウエストラインの非対称性、腕や足の長さが違う等の見た目上の変化も現れる」という物で、実際に現実にもある病気なんですね。この病気に悩んでいる方は実際にいらっしゃるんでしょうが、性癖小説選手権は自分の性癖をアピールする場であるので表現者の好きな物を書いて頂く場になります。誰かの好きは誰かの嫌いであるように、誰かの悩みは誰かの好みでもあるわけなので、性癖小説選手権では提示された性癖が何であれ受け入れます。該当する性癖について現実でお悩みになられている方には申し訳ないですが「こういう場もある」と認識頂いて視界から外されるようにお願いします。『殺人』とか『暴力』の性癖が入り乱れているので今更なんですけどね。念のために記載しました。


 一見は蝉時雨杏樹さんはこの『側弯症』で悩んでいる事や顔が苦痛に歪む姿に性癖を覚えていらっしゃる内容に見えましたが、最後には救いが現れるとことと、主人公である女子高生が嫌な目には合っているけれど仲の良い友人とも接していることから、単純に女子高生を虐めたいという理由で『側弯症』を性癖にされたいう訳では無いように思えます。

 女子高生を選ばれたのは苦痛に限らずに感情の揺れ幅が大きい存在である事が理由であり、『側弯症』による苦痛を感じて欲しいのではなく、「自らがアシンメトリーである事に対する感情を現わして欲しい」という様に感じました。

 マシナスな感情もプラスな感情も、どちらも「アシンメトリーである事から発生した感情」であり、主人公である彼女が「アシンメトリーな事を自覚しなければ発生しなかった感情」です。

 恐らくなのですが、蝉時雨杏樹さんはこの「肯定であれ否定であれ、他者と違う事を自覚した者が生み出す感情」に強く反応されているのではないでしょうか。その点が『側弯症』や『左利き』であり、集団生活の中での『マスク』なのではないかと思います。


 『側弯症』である事。そしてそこから発生する「アシンメトリーである事」に対する性癖小説としてとても深く考えさせられるとともに、女子高生のリアルな感情の揺れ動きを感じられる面白い性癖小説でした。

 しかし、作中の描写は『側弯症』に対する物がとても強く、折角提示して頂いた『左利き』という性癖についての魅力が余り語られていなかったのが性癖小説選手権としては物足りない点だったと思います。『マスク』についても。他人に『マスク』の良さを伝えるには描写が少なかったように思えます。

 『側弯症』の性癖のアピールはとても良かったので、次回は提示して頂いた性癖全てを魅力的に書いて頂けたらなと思います。ご参加ありがとうございました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る