26.ネームレス・センスレス/野村ロマネス子

作品名:ネームレス・センスレス

作者名:野村ロマネス子

性癖:恋未満

性癖:怠そうで余裕のある男

性癖:笑いかた(口を開ける、噴き出す、のけぞる)

性癖:よく食べる、きれいに食べる男

性癖:恋心を自覚する

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330656331271992


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 一作目ではおかしな名前のペットの話を投稿頂いた、野村ロマネス子さんの二作目です。


 こちらの作品は先輩の事が気になる女子高生が自分が先輩に向けている『恋未満』の感情を丁寧に育て上げ、最終的に自分でその感情に気付いて『恋心を自覚する』という興味を恋へと昇華する物語です。

 こういう恋愛物は個人的にとても大好きですね。最初から好きがMAXで相手の為に行動する恋愛物も好きなんですが、この野村ロマネス子さんの作品の様な『恋心を自覚する』という気付きを得る作品というのは大好物です。性癖小説選手権の目的の一つに読者に新しい性癖を受け入れてもらうだけでなく、作者自身に「自分にはこういう性癖もあるんだな」と気付きを得て貰う為という物があり、誰かに教えてもらうのではなく、自分で「私はそうなんだ」と気付いて貰うというのが性癖小説選手権主催の自分の性癖でもあります。なので物語の最後に『恋心を自覚する』というのは個人的にドンピシャな性癖で百点を差し上げちゃいます。野村ロマネス子さん百点!!!


 ちなみに、単に自分の好みの性癖だから高得点という訳でなく、ちゃんと丁寧に先輩に興味を持っている様子を見せながら作品を展開させ、エピローグ部分の「聞いてもらえますか?」という終わりで女子高生に恋心に気付かせると共に、読者に(ああ、この子は受験の後に告白するんだな…)と今後の展開を期待させるというテクニカルな終わり方をされているのが一番評価をが高い部分です。性癖表現者として分かっているなと思わせてくれる終わり方でした。

 しかも細かい事ですが、この主人公が最後に自分の感情についてどう結論を付けたかは作中では明言はしていないんですよね。本文内では主人公が自分の感情にどんな名前を付けたかは読者の想像に任せる形になっています。性癖紹介に『恋心を自覚する』と書かれているので恋心で間違い無いんでしょうが、そうした「読者に想像させる」というのも性癖小説選手権的には高評価です。

 先輩の描写も『怠そうで余裕のある男』というのがなんだかんだで頼れるカッコイイ先輩としての魅力を引き出していますし、『笑いかた(口を開ける、噴き出す、のけぞる)』というのも変にカッコつけているのではなく自然体でカッコイイんだなというのが伝わってきます。そして『よく食べる、きれいに食べる男』という物。育ちが良いし健康的でもある事の説明となっていて、この先輩がとても良い人で主人公が憧れるだけある先輩だなというのが良く分かります。この先輩絶対に男子からも人気高いですよね。一緒に居て楽しい奴とかそういう感じで。


 女子高生である主人公が『恋未満』の感情から『恋心を自覚する』までを丁寧に描いてあり、読んでいて微笑ましくてニヤニヤできる性癖小説でした。

 この後の展開が気になってしまいますが、ここで終わって後は主人公と先輩しか結末を知らないというところにも仄かに性癖が香るとても良い締め方だったと思います。

 野村ロマネス子さんには是非とも他にも性癖小説を執筆頂けたらなと思います。身近にこんなに性癖力が高い方がいらっしゃるなんて気付きませんでした。ご参加ありがとうございます。

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