9.ディメンション・スライサー/ぺらねこ(゚、 。 7ノ

作品名:ディメンション・スライサー

作者名:ぺらねこ(゚、 。 7ノ

性癖:次元と時間の圧縮

性癖:人間辞めたい

性癖:神に等しい力がそこら中に転がっている状況

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330656256779865


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 アカウントが別だったり名前を変えられてたりする場合は特に言及が無ければ別の方としてカウントしますので、ぺらねこ(゚、 。 7ノさんとしてのご参加は初のはずだったと思います。

 ぺらねこ(゚、 。 7ノさん、ご参加ありがとうございます!


 タイトルやSFというジャンルや提示された性癖から壮大な物語の作品かと思いましたが、実際に作品を読んでみるとカメラについての作品でした。それもカメラがどういう構造をしていて写真を撮るとはどういう事かを語る、「三次元を切り取る道具としてのカメラ」のお話です。

 性癖小説としても勿論なのですが、カメラという道具の捉え方の一つとしてこんなにもSF作品として語れるのはとても面白かったです。カメラにあまり詳しくない人でも作中の説明でカメラがどんな動きをして、どうしてカメラと『次元と時間の圧縮』に繋がるのかや、『神に等しい力がそこら中に転がっている状況』になるのかがきちんと説明されていて、その上でオチとして『人間辞めたい』に繋がって締められています。


 その上で興味深いのが、この神秘性を持つカメラという存在をまるで暴力的な装置かのように使用している所です。


 よく昔の笑い話で「記念写真で真ん中に映ると早く死ぬ」なんてのがありますが、これは「ピントを合わせられた人間(真ん中の人)の人生を二次元に切り取った」から他の人よりも寿命が短くなったとも解釈でき、そうなればぺらねこ(゚、 。 7ノさんがこの作品で語った通りに破壊的な力で人生の一部を写真にされたとも言えます。ですが、これは記念撮影というその瞬間を残したい人が行った行為なので暴力的ではありますが被写体の願いを叶えた結果であり、その切り取られた瞬間の時間というのはデータが残る限り不滅です。


 これは破壊的な行為で暴力であるんでしょうが、人生の一部を残す対価としては妥当ではないでしょうか。

 ましてやもう会えない人との写真や二度と訪れない瞬間の事であれば価値はとてつも無い物になります。


 ぺらねこ(゚、 。 7ノさんも破壊的な力や神の力と言いつつも悪の力とは扱っていない様ですし、乱暴な書き方にはなっていますがカメラの『次元と時間の圧縮』という能力を正しい事に使用したいと望まれているのではないかと感じました。

 最後は「世界を切り刻むために」で締めくくられていますが、暴力によって救われるもの、満たされるものもあるでしょう。切り刻まれた事で歴史として残り続ける事もあります。見方によっては破壊にも救いにもなるんですね。


 ご自身が偏愛する道具のカメラに向けた強い感情の作品としてとても面白かったです。ご参加ありがとうございました。

 

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