47.人型を提供いたします。/西島もこ

作品名:人型を提供いたします。

作者名:西島もこ

性癖:不穏、狂気

性癖:倫理観投げ捨て

性癖:あやしげなお兄さんが営むあやしげなお店

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330657746303760


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 西島もこさんはご新規の方ですね。どうやらこの作品がカクヨムの初投稿らしく、性癖小説選手権を機に執筆を再開された様です。

 こんな自主企画ですが復帰のきっかけとなれたのなら幸いです。


 地の文との会話劇で語られる今作は性癖紹介の一つ目に書かれている『不穏、狂気』という性癖の雰囲気そのままに『あやしげなお兄さんが営むあやしげなお店』の店内でダークな感じの会話劇が続きます。

 読み始めた時は地の文に対して会話している部分に違和感を覚えるのですが、最後まで読んでみると語り手の女性が既に死んでいて幽霊か何かの様な状態で話をしているというのが分かり、それが作品全体に漂っていた『不穏、狂気』という怪しげな雰囲気の事だと分かる構成になっています。性癖紹介に提示した内容を作品全体に込めつつ、トリッキーな構成で作品を書かれているのは凄い技術だと思います。正に作品その物を指して「性癖小説」と言えるでしょう。

 又、この作品で何よりも一番性癖の力が入っているのは『あやしげなお兄さんが営むあやしげなお店』の部分でしょう。作品を読むからには生前に酷い扱いを受けて死者か何者かに成ってしまった者の声を聴き、その要望に応えると見せかけて言葉巧みに復讐するように誘導していますね。確かに来店した切っ掛けは本人の燻っている何かが反応したからなんでしょうが、安心させるトークからの復讐の誘いは完全に狙ってやっているとしか思えません。とても良い性格をしていらっしゃるお兄さんですね。きっと胡散臭い笑顔が得意なのでしょう。なんとなく細目の優男を想像しました。優男と言っても他人の感情の揺らめきや強い復讐心から産まれる『倫理観投げ捨て』な激しい感情とその成果物を芸術と言って嗜む感じの胡散臭いお兄さんです。西島もこさんのとても良い性癖力を感じますね。『不穏、狂気』の性癖の使い方も合わせ、ご自身の性癖をよく分かっていらっしゃる方だと思います。


 カクヨム投稿一作目且つ初めてご参加いただいた方という事でしたが、以前に何処かで活動を為されていたのかとてもハイレベルな性癖小説でした。

 『不穏、狂気』な雰囲気ながらも語り手の正体や第三者の報告のTVから流れるニュースが他人事の様などこか夢現の様なふわふわとした感触で、ホラー的要素があって怖い物語の筈なのにずっと触れていたいという様な引き込ませる魅力があります。

 その様な部分から判断して、西島もこさんの提示されていない性癖に『誘惑』ですとか『禁断の果実』の様な蠱惑的な性癖がある様に感じたのですが、一作では判断できない奥深い物も感じます。

 是非とも今後も性癖たっぷりな作品を執筆頂き、性癖に素直で素晴らしい作品を作って頂けたらなと思います。ご参加ありがとうございました。

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