54.7×3/押田桧凪
作品名:7×3
作者名:押田桧凪
性癖:7の段が言えない彼女
性癖:名付けの由来
性癖:婉曲的なキス
作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330656251825357
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前回の第四回性癖小説選手権から参加いただいている押田桧凪さんです。
押田桧凪さんは作品の内容と性癖に絡めたタイトルの付け方が上手い方で、読み終わってからタイトルの意味に気付くというハッとする作品が得意な方になります。
今回のお話も最後まで読むとタイトルの「7×3」という意味に気付く作品となっており、最後に説明るのですがこれがとてもえっちな事で、これこそが押田桧凪さんの作品の肝であるなと分からせてくれます。
物語の流れとしては序盤で性癖にも書かれている『7の段が言えない彼女』の7の段が言えないというエピソードから始まり、7の段が言えなくても人生において7の段を多用する事は無いから問題無いだろうという結論と共に彼女の名前が「
この時のどうして7の段が言えないのかについて、先に
名前が「
という説明を持ってくるのではなく、
『7の段が言えない彼女』の名前を言ってしまうと「
という様に、結果を出してから後で理由を出すというのが謎を解明する気持ち良さに繋がりますし、わざとらしい説明口調で語るのではなく、このシーンは『7の段が言えない彼女』と彼らの日常なんだなと思わせてくれます。こうしてさらっと性癖を日常の描写に含ませるのは見事ですね。常日頃から上手に性癖を扱っていらっしゃるのだと思います、
そして、前半では7の段を人生においてそうそう使いはしないだろうという話題を出しておき、丁度お話の真ん中で『名付けの由来』のエピソードを説明し、後半は7という数字で幸せを感じれる場合もあるというエピソードへと繋いでいます。
一つ目の性癖について理解が出来た所で二つ目の性癖との関りを提示し、『7の段が言えない彼女』の理由は『名付けの由来』から来ているものであると読者に分からせつつも、そんな名前でも嫌な事ばかりでは無いとエピソードを交えて説明してくれています。直接的な描写は無いですが、こういう小さなことでも喜べるのが『7の段が言えない彼女』の魅力なんだろうと思わせてくれますね。とても可愛らしいです。
さらに、そこからは「実は語り手である主人公の名前も『7の段が言えない彼女』の名前にかかわりがある数字」という真実が発覚し、これにより『7の段が言えない彼女』が『7の段が言えない彼女』であるからこそ、この語り手の彼女としてぴったりハマる存在であるというのが分かるようになっています。
ここまで来ることで、タイトルである「7×3」が『7の段が言えない彼女』と語り手の『婉曲的なキス』の事であると判明し、この物語は最初から押田桧凪さんの性癖である『婉曲的なキス』を現わす為の丁寧な下地部分だったんだなというのが理解できます。
『7の段が言えない彼女』と『名付けの由来』を絡ませつつ、最終的にその二つを持って『婉曲的なキス』に繋ぐという素晴らしい性癖のコンボ。性癖の使い方がとても上手です。文字数も丁度1000字で終えていますし、押田桧凪さんは何もかもを計算されて性癖小説を書かれています。
こんな計算されつくした性癖小説を三作も投稿頂いているのは主催冥利に尽きますね。押田桧凪さんの作品と性癖について語りたい事があるのですが、それは残り二作の講評を終えてからにしましょう。
とても素晴らしい作品をありがとうございます。残りの作品も楽しみの読ませていただきます。
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