28.思い出は47センチ/ぎざぎざ

作品名:思い出は47センチ

作者名:ぎざぎざ

性癖:女性の髪

性癖:変わった髪色

性癖:望めば届くかもしれないのに結局片思いで終わらせる

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330656574292299


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 


 今回初参加頂いたぎざぎざさんの二作目です。一作目とは全く違う性癖を提示されていて、ご自身の中ではっきりと「自分の性癖はこれ」という物を持っていらっしゃるのが分かります。


 二作目に投稿頂いた今作は終始『女性の髪』に執着をした作品で、『変わった髪色』が髪に関する事なのはもちろん、三つ目の性癖である『望めば届くかもしれないのに結局片思いで終わらせる』というのも、結局は彼女の髪の毛を長いまま手元に置いておきたかったからで、彼女の人間性は必要としていなかった様に読めてしまう点がとても好感が持てました。彼女の事は髪の手入れをする為に必要な人として見ていたんでしょうか。それとも髪の毛の持ち主でもある彼女の事も興味があったのでしょうか。髪型が変わってしまった事で失恋の様に感じているという事は前者だったのかもしれませんね。

 作中では自分の部屋で彼女の長い髪の毛を見つけた主人公が、およそ落ちていた髪の毛に対する行為ではない「舐める」という行為を行い、続けて持ち主である女性の胸のサイズのIカップと比較するように「髪の長さを計る」という行為をしてその長さに驚き、長さと美しさ維持する事に打ち震え、そして「食べる」のをぐっと堪えて「ジップロックで保管する」という行為をしています。

 元は美しい物は美しいから破壊されるという気付きによって興奮していた様ですが、その時に見た映像が余りにも刺激的だったからか「女性から髪の毛を奪う」という事に興奮する様になり、やがて『女性の髪』自体に性癖を感じる様になっていったのでしょう。

 その性癖は髪に対しての執着心を強くさせており。彼女の落ちた髪の毛を「磨き上げられた黒曜石」とまで称賛しています。彼女がきちんと手入れしていたからこその称賛なんでしょうが、抜け落ちた髪の毛に対して使う言葉かどうかは悩みどころです。しかし、それだけ主人公にとっては素晴らしい宝物だったのでしょう。ナイス黒髪! ナイス性癖!


 と、髪について執着心が素晴らしい作品だったのですが、一点だけ気になる事があります。

 作中の髪に興奮を覚える様になった経緯の説明に「美しいものだから人はそれを壊そうとするし、容易く壊れてしまうからこそそれは美しい」とあるのですが、この部分についてはもう一歩踏み込んだ「彼女にとっての美しい物(髪)を奪いたい」という欲求にまで発展してはいないでしょうか?

 単なる美しい物を愛でるだけならば最初からジップロックに入れているでしょう。それを「舐める」や「食べる」をしたいという事は、「髪の毛という美しい存在を自分が奪う」という事に繋がるからしたかったのではないかと感じました。

 最後に彼女が髪を切ってしまって失恋した様に感じたのも、彼女の髪を自分の物にしたかったからではないのかなと思います。

 自分がそう感じただけで実際は違うのかもしれませんが、性癖に秘めた暴力的な野心はとても美しい輝きを放つものです。もしそうならば、そういった暴力的な部分をもっと前に出してもよかったのではないかと思いました。


 一作目のコメディとはうってかわって二作目はシリアスな恋愛物のお話と、性癖もジャンルも違うのに両方ともとても面白い作品でした。

 性癖小説選手権の評価項目として判断が難しい部分はありましたが、選手権という事を抜きにして性癖小説として考えると、二作とも性癖をアピールしながらも読みやすく面白い作品でした。

 出来ればこれからもご自身の性癖に素直な作品を書いて頂けたらなと思います。ぎざぎざさんはまだほかにも性癖を沢山お持ちな気がしますし、一介の性癖表現者として応援しています!

 ご参加ありがとうございました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る