31.ボクらの爛れた朧月/クニシマ

作品名:ボクらの爛れた朧月

作者名:クニシマ

性癖:昭和軽薄体

性癖:バンドマンによる連載エッセイのしょうもない回

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330656242535500


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 こちらも初参加のクニシマさん。まだ集計は取っていませんが、今回半分ぐらいの参加者の方がご新規なのではないでしょうか。とても嬉しいことですね。ありがとうございます。


 作品の内容についてですが、すごくいい作品でした。いやほんといいですよ。こういう「エッセイなのか日記なのか曖昧な生態報告の文章的な作品」は個人的に好きです。

 性癖紹介に書かれていて初めて知ったんですが、こういう文体って『昭和軽薄体』と呼ぶんですね。今でいう「おじさん構文」の原型みたいな感じがしますが、どちらかというと昔のフォントいじり系テキストサイトの様なノリを思い出します。恐らく、個人向けに書いているのかと大多数に向けて書いているかの違いがるのではないでしょうか。ほんと好きです。こういう文体。

 昔のフォントいじり系テキストサイトでもそうなんですが、基本的にはこういう文章は思った事や逢った事の垂れ流し的な文章で、気取った感じのしないその人自身を読ませてくれる物なんですね。大体の内容はしょうもない物なんですけど何故か読んでしまう魅力があります。語りが軽快ですし、半分ぐらいは落語のつもりで読んでしまうのかもしれません。ツイッターとかブログとかを見ている人もそんな感じで見ていると思うので、そういった人はクニシマさんの『昭和軽薄体』という性癖に共感できるのではないでしょうか。


 そしてその『昭和軽薄体』で書かれているのが『バンドマンによる連載エッセイのしょうもない回』というのもとても良かったです。

 これは偏見なのですが、バンドマンは一般人と違って人生の上がり下がりが激しく、だいたいの人間はまともじゃない人です。良い方にまともじゃない人も悪い方にまともじゃない人も居るんですが、まともじゃないという時点でその人はコンテンツ足りうる存在となり、生きてるだけでコンテンツの人の『昭和軽薄体』となったそれは面白くて当たり前なんですよね。しかも連載エッセイという事はそれなりに回数を重ねていて、普段は真面目な事を書く時もあるはずです。そんな中での「しょうもない回」。しょうもないからこそ、その人自身が分かるので読んでしまいます。しかもさらっと危険な目に会ってますし、他のメンバーのイメージダウンさせちゃってますし、これはきっと伝説として残る回ですね。


 『昭和軽薄体』である事と『バンドマンによる連載エッセイのしょうもない回』という、片方の性癖がもう片方の性癖を補強しあう様な面白い作品でした。

 連載エッセイだから今更バンドのメンバーの説明しなくてもいいだろうという感が性癖小説選手権のレギュレーションにも合っていましたし、初参加の方ですが性癖小説書きとして慣れていらっしゃる方の様に感じます。

 ピンポイントでクセのある人には必ず刺さる性癖小説ですので、今後ともこの性癖力を発揮して様々な性癖小説を書いて頂けたらなと思います。

 ご参加ありがとうございました。

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