第13話 ロケット砲再び ※下ネタ少々
わし達は、城の外で待ち人を待っていた。
その待ち人は、土煙を上げながらこちらへとやって来ている。
「リョク姉、今回はちょっかいを出さんでおいてくれ」
「やだなぁ、ニーニャ様。この前はちょっとおっぱいを触っただけじゃないですか」
全く反省もなくリョク姉は、そう答えた。
それが問題なんじゃがの。
まぁ、今回も同じ人が来るとは限らんか。
そうこうしているうちに、土煙だけでなく人らしき姿も見え始めた。
「どうやら、この前と同じ人のようだな」
目の良い瑛三郎がそう言う。
馬車ならぬ兎車は、それから間もなくわし等の前で止まり、一人の女性が兎車から降りて来た。
瑛三郎の言うとおりであった。
「オーディンスヴェトゥワさん、配達です」
彼女は笑顔でそう言いながら、帽子を取った。
「おぅ、わしじゃ」
手を上げながら、そう言って彼女の近くへと行く。
「あら、可愛いお子さんですね」
彼女は瑛三郎に対して、そう言った。
「あ、いや…こいつは俺の娘じゃなく正真正銘の大人で、俺達より年上です」
「えっ!?そうなんですか!?」
「これは、大変失礼いたしました」
彼女は深々と頭を下げる。
彼女が何かをするたびに、胸の巨大ロケット砲は重力に逆らったり逆らえなかったりを繰り返す。
「よい、いつもの事じゃから気にすることは無い」
そう、冒険をしていた頃は、新しい街や村に入るたびに瑛三郎が父、麟が兄として勘違いされていた。
「それより物を持って来たんじゃろ」
「あ、そうでした」
彼女はそう言うと、兎車から箱を二箱取り出して、わしが持参したカートに置いた。
「それでは、こちらにサインをお願いします」
渡された書類にサインをして彼女に返した。
「ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」
そう言った後、彼女は麟の方に一瞬視線を向けて、兎車に乗り込んだ。
「それでは」
そう言うと、颯爽と去っていった。
麟は、小さく手を振りながら見送っていた。
そして、居間に戻る途中。
「のぅ、麟」
「何でしょう、ニーニア様」
「彼女と知り合いなのか?」
「えっ!?い、いえ…この前知り合ったばかりですよ?」
挙動不審というのは、こういうのを言うのであろう。
嘘が下手じゃのぅ。
「で、どうなんじゃ?リョク姉」
「そうですね。麟さんの言うとおり、この前知り合ったばかりのようですよ」
「ただ、麟さんは彼女の事を以前から知っていたようで…えっと…確かキャリー・キラーラビットさん?って言ってましたっけ」
麟は手をわきわきとさせながら、焦りの表情をしていた。
「瑛三郎、知っとるか?」
「知らないな…」
「なら、仕方ないの」
そう言って、わしらは再び歩き始めたが、数秒後。
「で、麟よ。彼女はキャリー・キラーラビットさんなのかや?」
「結局、本人に聞くのかよ」
そして現在は居間。
テレビで放送されているドラマ、そこに映っていたのは先ほどの女性配達員だった。
「彼女は、それほど売れてないんですが、女優をされているんですよ」
「成程の」
そう言っている間に、ドラマ上の彼女の出番はストーリー上も含め消えた。
つまり、このドラマにはもう出ることは無い。
女優業だけではやっていけず、時間のある時に配達員をしているのだろう。
「で、麟は彼女のどういう所が好きなんじゃ?」
「また、言いにくい事を聞くなぁ…」と、瑛三郎は言い。
「そんなの、おっきいおっぱいだからですよ」と、リョク姉は言った。
「え…いえ…その…」と、麟は顔を赤らめる。
どうやら、リョク姉の言っている事が正しかったようだった。
これ以上は可哀想なので追及しないことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます