第46話 S○RCERIAN ※序文参照
※最初に、今回の話はこの現実世界において任天堂Switchで発売されたPC-8801mkIISR版ゲーム”SORCERIAN”の話です。
「何もかも懐かしい……」
わしがSwitchの液晶画面をうっとりとしながら見ておると、いつものように隣に陣取っていた
「何かと思ったら、また古いゲームか」
「そうじゃ。これは
「ほぅ。なんかこの前の
「そりゃあ、同じ会社が作った物じゃしな」
「ほぅ」
ちなみに、今わしがプレイしているのはシナリオの一番最初の最初『消えた王様の杖』のとある場面である。
「しぬでないぞ」
突如として発言したわしの台詞に瑛三郎は怪訝な顔をする。
「お前は何を言ってるんだ?」
「ん?あぁ、お主は当然知らんのじゃったな」
「このシナリオの名言の一つじゃ」
「ほれ、ここじゃ」
わしはそう言うと、一旦ホーム画面に戻ってアルバムへと移りスクショを取ったものを見せる。
「成程な…しかしながら、見た目と違って年寄りみたいなセリフだな」
瑛三郎の言うとおり、誰がどう見ても若い戦士にしか見えないのじゃから、そういう感想を抱いても無理もない。
「そうじゃな。元々はそういう設定だったのやも知れんな」
「もしくは、わしみたいに長命のエルフなのやも知れん」
このゲーム、種族として人間の戦士、人間の魔術師、ドワーフ、エルフの4種登場するからの。
「ふーん…ん?ちょっと待て」
「なんじゃ」
瑛三郎は画面に指差しながら言う。
「俺の名前があるぞ」
そう、わしはこのゲームのキャラに瑛三郎達の名前を付けている。
人間の戦士EISABURO、人間の魔術師LIN、女ドワーフのCARRY、そしてエルフのわしNYNYA。
「いや、普通は自分の名前を付けたりするじゃろう?」
何をそんなに驚くことがあるんじゃ?みたいな顔を瑛三郎に向ける。
「自分の名前はともかく、普通は死ぬゲームに知り合いの名前は使わんだろ」
「なんじゃ、不服なのかや?」
「仕方ないのぅ。このシナリオが終わったら消……」
「……そのままでいい……」
その瞬間『勝った』…と、わしは心の中で思った。
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わしがちょうどボスの居るエリアに到着した時に、
つまり、ティータイムがやって来たという事である。
なお、リョク姉は何時ものようにキャリーの胸の間に入ってくつろいでおる。
「あれ?ニーニャ様。
ボス戦の音楽に気付いたリョク姉は、キャリーの胸から飛び出してわしの肩へとやって来る。
「ふっふっふ。流石はリョク姉じゃ」
「そう今からボス戦なのじゃ」
その台詞に麟とキャリーも一旦手を止めて、わしの下までやって来た。
「ドラゴンが2体もいますよ」
「本当。凄く強そうなドラゴンですね」
「あ、私の名前があります」
「本当だ。僕の名前もありますね」
二人はわしの背後から覗き込むように見ながら言う。
ちなみに、二人の互いの顔の距離が近いのじゃが、麟だけが顔を赤らめておった。
うぶな奴じゃのぅ。
そんな事はさておきボス戦じゃ。
というても、このボス。最弱で有名で見た目とは裏腹にあっさりと倒せてしまう。
それはもう、作り立てのキャラですらあっさりと。
「凄い凄い。私たちのパーティ勝ちましたよ」
何も知らないキャリーは、たいそう喜んだ。
なお、このボス。本編のシナリオには全くこれっぽっちも関係が無く、つまり倒す必要はないのじゃ。
「何のためのボスなんだ…」
瑛三郎は不思議そうにつぶやく。
「さぁのぅ。経験値稼ぎとして入れたんじゃないかの」
「身も
「まぁ、実際、経験値稼ぎですよねぇ」
「このボスが居なかったら、他の雑魚モンスターを相当数倒さないと最初のレベルアップに必要な経験値に到達しませんからねぇ」
わしの説明を補足するようにリョク姉は言った。
そんなこんなしているうちに、シナリオの目的物である王様の杖を手に入れたのじゃった。
「ふっふっふ」
不敵な笑いをするわしに、瑛三郎は再び怪訝な表情を向けて来た。
「実はじゃな。このゲームには隠しアイテムというものが存在するんじゃ」
「ほれ」
そう言うと、わしは『王様の杖』が入っていた宝箱の前にキャラを持って行くと、上ボタンを押した。
するとどうでしょう。
「おおっ!!!」
わしとリョク姉以外が驚きの表情をする。
「
リョク姉は言う。
「じゃな。昔Windowsでリメイクが出た時に父様が『えっ!?ちょっ!?俺こんなアイテム知らないんだがっ!?新しく追加されたのか!?』みたいに驚いておったしの」
「ですねぇ。『ぞうげのゆびわ』と『こはくいろのゆびわ』だけじゃなかったのか(´・ω・`)って……っぷぅー!」
最後まで言い終わる前にリョク姉は噴き出す。
「とまぁ、こんな感じでシナリオをクリアした後に隠しアイテムを探すのも、このゲームの醍醐味じゃ」
「ですねぇ。まぁPC-88版ではそんなにないんですけどねぇ」
「じゃのぅ。後発のPC-98版とかだと結構あるんじゃがの」
わしとリョク姉の分かる者にだけ分かる話に、他の三人は話に付いて行くだけがやっとであった。
「ちなみに、さっきの…というても瑛三郎にしか分からんか」
「『しぬでないぞ』のあのキャラにも隠しアイテムがあるんじゃ」
そう言って、わしは街へと戻る…直前まで戻って来たところで引き返した。
「なんで街に帰らないんだ?」
「ふっふっふ。まぁ、見ておるが良い」
わしはそのまま、あのキャラの居た場所に戻って行く。
この隠しアイテムは、街に戻る直前の場所まで戻って初めてフラグが立つという、酷い仕様なのじゃ。
そして、奴の居たところに戻ると、やつは既におらず…。
「おおっ!!!」
再び三人の驚きの声。
「
「じゃのぅ」
こうしてようやくパーティは街へと戻り、アイテム分配。
「ここで気を付けないといけないのはじゃな…アイテム分配するキャラを選べないことじゃ」
「じゃから、例えば今回のように人間戦士、人間魔術師、ドワーフ、エルフの順番だとLONG SWORDから分配しないと人間戦士には行かないんじゃ」
「これも罠ですよねぇ」
「じゃの。まぁ確かPC-98版などの後発版は剣は人間戦士、斧はドワーフ専用と仕様変更が追加されたから気にする必要はないんじゃがの」
「まぁ、どうせ最低でも2周することになるから、そこまで気にしなくても良いんじゃがの」
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※神の声
Windows版のS○RCERIAN ORIGINALのみの仕様です。ニーニャの記憶違いなので注意。
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「そうなのか?」
わしの説明に瑛三郎が訊く。
「最初はシナリオクリアのために王様の杖を返したじゃろ?」
「2周目では返さずに人間魔術師か、エルフに渡すのが定石なんじゃ」
「この杖に太陽を掛け合わせると帰還の魔法になるからの」
「ほぅ」
「じゃから1本は持ってても損はないぞ」
というわけで、分配も終わる。
「ん?なんだ今の?」
「パーティメンバーのステータスが一瞬だけ見えて消えたんだが」
「あぁ、これは1年が経過した時に表示される画面じゃな」
「という事は、寿命もあるのか?」
「そうじゃ」
「このゲームのキャラは年をくうので、悠長にやっていたらあっさりと寿命を迎えてしまう事になるんじゃ」
「じゃが、寿命を迎えても後を継いだキャラにアイテムは引き継げるので安心じゃぞ」
「まぁ、レベルや能力値は最初から上げ直す必要があるがの」
「なるほど」
「ちなみに、レベル上げに必要となる経験値は人間戦士=人間魔術師<ドワーフ<エルフという感じで、特に長命のエルフはレベルが上がりにくくなっておる」
「今回のシナリオクリアとボス戦闘だけじゃとエルフはレベルが上がらんから、必ず雑魚敵も倒して経験値を得るんじゃぞ」
というわけで、今回のお話はこれまでじゃ。
SORCERIANにはシナリオが15本用意されておるので『消えた王様の杖』のように簡単なシナリオから始めるのが定石じゃ。
そして、分からなければネットから情報を集めるんじゃぞ?
古のPCゲームとしてはメジャーじゃから、色んな所から情報が手に入るはずじゃ。
『不老不死』になる方法とかの。
まぁ、不老不死になっても冒険でHPがゼロになれば普通に死ぬので要注意じゃぞ。
「ニーニャさん、瑛三郎さん。お茶のご用意が出来ましたよ」
と、キャリーの呼ぶ声が聞こえたので、これで終わりじゃ。
では、良いSORCERIANライフをの。
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