第15話 怪しき中二病 後編

管理者とル=シファが接触してから十分が経とうとしていた。

わしらには見ることは出来ないが、恐らく二人で何かを話し合っているのだろう。


「こっちに管理者が来たぞ」と、瑛三郎。


「そのようじゃ」

「ん?」


「ニーニャ、どうした?」


「いや、わしにチャットを送って来た」


わしの言葉に、自分の席に座っていた瑛三郎と麟が立ち上がって、わしの後ろにやって来る。


『ニーニャ、お久しぶりー。お姉ちゃんだよー』と、チャットに表示される。


『おぉっ!もしかして緑子姉さまかや?』と、わしは打ち返した。


「えっ!?姉様なんですか!?」とリョク。


『そそ緑子。で、例の怪しいキャラクターなんだけど、あれ【おじいちゃん】なのよ』


「ニーニャ様、私の予想が当たってましたよ」と胸を張るリョク。


「どういうことだ?さっきからニーニャのお姉さんだとか、どういう間柄なんだ?こいつニーニャは長女だろ?」と瑛三郎。


「ですね。仮に緑子さんがニーニア様の姉という事であれば、緑子さんがおじいちゃんと呼ばれた方はニーニア様の祖父ということでしょうか」


「あぁ、瑛三郎さんと麟さんは知らなかったですね」

「ニーニャ様の父、つまり主様マスターは、今そこにいてる管理者である緑子姉様を養女にしているんですよ」

「で、当時既に結構年離れていたので、緑子姉様は主様マスターの事を【おじいちゃん】って呼んでるんです」 

「ですから、緑子姉様の異形分身体の私も、ニーニア様から見たら【姉】になるんですよぉ」と、リョクは胸を張りながら言う。


「そして、ニーニャに変な事を吹き込んだ張本人というわけか」


「瑛三郎さん、失礼ですね。英才教育と言って下さいよ。ぷんぷん」


そうこう3人がやりとりをしている間に、緑子姉様のチャットはわしに随時届いていた。


『でね。おじいちゃんがどうしてもニーニャと遊びたい遊びたいって言うから、じゃあ既存の分消したらいいじゃないって言ったの』

『そしたら、それは (´・д・`)ヤダ ってゴネて、仕方なくもう一つ作ったの』

『ホント ┐(´д`)┌ヤレヤレ だよー』

『これでも、この世界では【伝説の英雄】呼ばわりされてるんだよ』

『笑っちゃうよね。(⌒▽⌒)アハハ! 』


「思っていた人と随分違うんだな」と瑛三郎。


「伝説の英雄なんて、後世の者達が勝手に作ったものじゃからの」

「がっかりしたか?」


「いや、この前にお会いした時に感じたとおりの人だったよ」


「ですね」と麟が同調する。


「それなら良かったわい」


そうこう言っているうちに、何やら初心者のキャラクターが画面に現れた。

それは父様の方へと向かっている。


『あ、御主人様マスターが来ました』

『ついでだから、御主人様マスターにも新しい番号を付番してチクっておきました』

『 (・ω<)テヘペロ 』


「…お前にそっくりだな」と瑛三郎はわしにではなく、リョクにそう言った。


「そりゃあ、姉ですからねぇ」とリョクは胸を張る。


その間に、騎士と初心者二人がこちらへと向かってきた。


『ごきげんよう、ニーニャ。話は緑子から聞きました』


『いやぁ…ニーニャ。元気にしてるかい?』


『ご機嫌麗しゅう。父様、母様』


『最近、私に内緒でこそこそパソコンをしてると思ったら、実の娘をストーカーしていたとは』


『だって、ニーニャと遊びたくて』


『わ・た・しに秘め事をしてまで、ニーニャと遊びたい、と?』

『私より娘の方を選ぶのね…』


『そんなことは無いよ、君の事を一番愛してるよ。(*´ε`*)チュッチュ 』


『父様、母様。今のチャットは瑛三郎と麟も見ているので自重して下さい』


『えっ!?そうだったの!?そう言う事は最初に言いなさいっ!』


勝手に痴話げんかを始めておいてこの言いよう。

目を線にしながら乾いた笑いをしながらそう思った。


『とりあえず、傍に瑛三郎さんと麟さんも居られるのでしたら、私たちもパーティに入れて貰えないか話してみてくれない?』


「だ、そうじゃ」


「俺は全然かまわないぞ」


「僕もです」


「これで、また賑やかになりますねぇ」


『みんな オッケー☆⌒d(´∀`)ノ って言うております』


『それでは宜しくお願いしますね。瑛三郎さん、麟さん』


『よろしく頼むよ。瑛三郎君、麟君』


二人は急いで自分の席に戻って、わしのチャットに入って来て打ち返した。

こうして、週末の土日の夜に一緒に遊ぶことになったのであった。


ただ、最後の会話の『お父さん。後でお話があります』『はい…』というチャットが気になったが、気にしないことにした。

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