第41話 古のゲームの話

※お話自体は1200文字程度です。

 つまり後半の2/3は攻略に費やされた会話文章ですので、読む読まないはご自由に。


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新しい年になってから3日目のこと。


「………」


「………」


わしはソファに寝転がって、新たに購入した最新のゲーム機で古のゲームをしておったところ、奴はどかっと横に座ってしきりにゲーム画面を覗き込んでおった。


「なんじゃ、何か用でもあるのかの?」


「いや、正月になってから飽きもせずにゲームをしているな、と思ってな」


それはいつものことじゃろ。

そう思っていると、いつもはわしのするゲームの内容など気にしもしない瑛三郎が尋ねて来おった。


「えらく荒い画像のゲームだな」


「そりゃそうじゃ。これは1万年以上も前、この世界が作られるよりも前に作られたゲームじゃからの」


「ほぅ。ニーニャより古き者なのか?」


「そりゃそうじゃ。父様が若い頃に出たゲームじゃからな」

「既に版権などとうの昔に消えておるからの。最近になってそういったゲームを、このゲーム機に復刻し始めたのじゃ」


わしは、そう答えながらプレイしていたものだから、ほんの少し反応が遅れた。


「お主が話しかけるから死んでしまったではないか」

「ま、もっとも、今回は巻き戻し機能があるから平気じゃがの」


わしはそう言って、巻き戻し機能を使った。


「それはズルじゃないのか?」


瑛三郎は、ゲーム画面を指差しながら言う。


「なんとでも言うが良い。このゲームは非常に死にやすいからの」

「そのくらいの救済措置は必要なんじゃ」


わしの言葉に、瑛三郎は『じゃあ、この前のゲームでもその機能使えば良かっただろ』的な表情を浮かべていたが、残念ながらあのゲームにはそんな機能はないのじゃ。


そんな他愛もない話をしながらプレイしているうちに、わしはバ○リスを倒した。

そして、エンディング。


「ふぅ、これでゲームクリアじゃ」


わしは、かいてもいない汗を拭う仕草をする。


「…エンディングってそれだけなのか?」


「そうじゃが?」


「随分と簡素なエンディングだな」


「ふん、古の世界ではメモリが64KBキロバイトだとかが普通だった時代じゃからの」

「現代のように64PBペタバイトもなかったんじゃから、あたりまえじゃ」


「ふむ…そうなのか…」


瑛三郎は手を顎にあてがいながら考え事をする。

あの顔は『KBキロバイトってなんだ?』みたいな顔じゃの。

まぁ、仕方のないことではある。

古の勇者にしか分からない世界じゃからの。


「ところで、そのゲームいくらだったんだ?100エルくらいか?」


「880エルじゃ」


「そんなグラフィックとゲームシステムで880エルもするのか?ボラれたんじゃないのか?」


「バカを言うでない。先人のクリエイターに謝れ」

「というても、もうこの世にはおらんがの」

「古いゲームとはいえ、最新のゲーム機種に移植するんじゃから金はかかる」

「まぁ、神が片手間で作っただけじゃが…おっと、これは秘密じゃった」


「…聞かなかったことにしよう」


「そうしてくれ」


「で」


「なんじゃ」


「それ、俺もプレイしてもいいか?」


「まぁ、良いがプレイして文句を言うでないぞ?」


「あぁ」


こうして、瑛三郎にプレイさせたのだが自力ではクリア出来ないので、わしが最後まで攻略方法を教えたのであった。



***ここから下は攻略のページなので、読まなくてもOKです***


「というわけで、ここからは任○堂ス○ッチで発売されたPC-88○1版ハイド○イドの攻略をするぞい」


「一部、事実上伏せ字になってない箇所があるぞ」


「気にするでない。分かる人にしか分からんしの」

「というわけで、ざっくり説明していくぞ」


「1.始まりの画面上のスライムをひたすら狩ってレベルを2つ上げるんじゃ」

「なお、ディフェンスモードだとダメージを与えられんからアタックモードにするんじゃぞ」


「よし、出来たぞ」


「うむ。では即セーブじゃ。というか、セーブは安全なところでこまめにするんじゃぞ。これはこのゲームの鉄則じゃからの」


「2.下のマップ画面に行くと木がいっぱいあるじゃろ?その木を下から突くんじゃ」


「おぅっ!ハチが出てきたぞ!」


「あぁ、それはハズレじゃな」

「ともかく、当たりを引けば妖精がゲット出来るぞ」


「これ知らなかったら永遠に見つからないやつだな」


「じゃのぅ」

「3.最初のマップの西に中央の迷宮があるんじゃが、その迷宮の外の南側に宝箱があるじゃろ?そこで十字架をゲットするんじゃ」


「手に入れたぞ」


「4.中央にある迷宮の入口、西側にあるでの。その入口でひたすらローパーというモンスターを狩り続けるんじゃ」


「1匹倒すごとに回復がいるな」


「このゲームの仕様じゃ」


「とりあえずレベルを2上げたぞ」


「5.じゃあバンパイアを倒しに行くぞ」

「最初のマップ画面の東に城のような建物があるじゃろ?その城の奥にたまに出てくるバンパイアを倒すんじゃ。そして、倒したあとに現れる宝箱からランプをゲットするんじゃ」


「よし、出来たぞ」


「6.そのバンパイアのいる城の北に洞窟があるじゃろ?そこに入って宝箱から剣をゲットするんじゃ」

「ちなみに火の玉みたいなやつと戦う必要はないから、ディフェンスモードでOKじゃ」


「無事にゲットして攻撃力が上がったぞ」


「7.中央の迷宮から南に進んでいくと墓場があるじゃろ?そこでゾンビをひたすら倒すんじゃ」

「ちなみに墓の中は毒じゃから体力が減るでの。1匹倒したら…と今までどおりの戦い方をするんじゃ」


「面倒だったが上げたぞ」


「8.ここで中央の迷宮内にある宝箱からツボをゲットするんじゃ。もちろんディフェンスモードで戦いを避けながら行くんじゃぞ」

「確か、ここでゲットすると、以後ローパーが迷宮の外にまで現れるようになったはずじゃ」

「なので、以後はスライムだけじゃないぞ?」


「9.ツボを取ると、その迷宮内に新たな迷宮の入口が現れるので入るのじゃ」


「宝箱がいっぱいあるな」


「まぁ、一つ以外はハズレじゃ」

「どれか一つに鍵が隠されておる」


「面倒だったが、とりあえず手に入れたぞ」


「10.このゲームの攻略順に絶対はないんじゃが、レベル上げした墓のところに宝箱があったじゃろ?そこから黄色い宝石をゲットするんじゃ」


「鍵が必要だったんだな。どうりで宝箱の上に乗ってもアイテムが手に入らないわけだ」


「11.中央の迷宮の北側に洞窟の入口があったじゃろ?そこにいるレディアーマー、赤っぽい色したモンスターじゃな。それを5体倒すんじゃ。そうすれば盾が手に入るぞ」


「おお、なんか防御力が上がったような上がってないような」


「体感で感じられないのは仕様じゃ」


「12.同様にその洞窟にいるゴールドアーマーを5体倒すんじゃ。さすればその洞窟内に宝箱が出現するでの。そこで青い宝石をゲットするんじゃ」


「これ、レディアーマー同様知らなかったら永遠にアイテムが手に入らないな…」


「13.その洞窟を抜けると砂漠の中に出るので、東に進むんじゃ。すると動く木が複数おるじゃろ?」


「まさか…」


「そのまさかじゃ。下からつついてやって当たりなら二人目の妖精をゲットじゃ」

「あ、突くときはディフェンスモードじゃぞ?」


「14.先程の洞窟の出口まで戻って、今度は南側に行くんじゃ。すると城のようなものがあるじゃろ?そこに入るんじゃ」

「ちなみに事前にセーブしておくんじゃぞ」


「水の中に入ったぞ」


「ちなみに一度入ると元の場所には戻れん」

「北から迂回してぐるっと時計回りに回るんじゃ。すると、島に入れる入口がある」

「で、そこにおるウィザードの攻撃を5回受けたあと、いずれかのウィザードを倒すんじゃ。そうすれば3人めの妖精がゲット出来るぞ」


「これ…なんのヒントもなしに分かる人いるのか?」


「まぁ、ウィザードの攻撃を受けるたびに攻撃力が下がるからの。感の鋭い人なら気づくじゃろうのぅ」

「15.ともかく、ウィザードを倒すとドラゴンのいる島に飛ばされるのでドラゴンを倒すんじゃ。さすれば、水路の水がキレイさっぱり抜けるぞ」


「おぉ」


「ちなみに元水路には東側と西側でそれぞれ宝箱があるからの。そこで赤い宝石と生き返りの薬をゲットするんじゃ」


「手に入れたぞ」


「16.水路の水がなくなったことでバ○リスのいる島にも行けるようになるからの。その城に入ってすぐのマップでひたすら2レベル上げするんじゃ」


「3つ上げるんじゃないのか?」


「あー…それはな、最後の1レベルはバラ○スを倒さんと上がらんのじゃ」


「そういえば、ニーニャが倒したときに上がってたな」


「そういうことじゃ」

「ともかく、レベルが2上がったら城の奥のバ○リスのいる画面の更に奥まで進むんじゃ」


「なんか墓が一つあるな」


「うむ。その墓にアタックして壊さない限り、バラ○スに傷一つ付けられん」


「よし、なんとか出来たぞ」


「じゃあ、あとはひたすらディフェンスモードでバラリスの体力を削っては、墓のあったところで回復。それを繰り返してバラ○スを倒すんじゃ」

「あぁ、あと。バ○リスをあと1回で倒せるという直前でセーブをしておくと、何度もエンディングが見れるぞ」


「よし。姫を助けたぞ」


「さすがは瑛三郎じゃ。そんなわけで攻略は終了じゃ」

「皆の者も、頑張ってバ○リスを倒すんじゃぞ」


「本当に理不尽なくらいあっさり死ぬゲームだが、攻略が終わればやりがいのあるゲームだったな」


「じゃな。それじゃあ、次の機会があるかどうか分からんが、あればまたの」

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