第21.0話 体を動かす君が

美味しいラーメンで腹を満たし、人気の少ない路地を後にする。


今回のデートでは、お互いの行きつけの店を紹介するのが目標だった。

先に俺がよく行くラーメン屋に行ったので、この後は文香がよく行くお店に向かう。


しかし、女の子がよく行くお店か・・・。

俺入って大丈夫?痴漢!とか言われないかな。


でも、文香もあまり女の子が行かないようなラーメン屋まで来てくれたんだから、俺も覚悟を決めないと。


密かに心の準備をして、どんな店でもどんと来い!と思っていたら


「ねぇ宗則くん。ちょっとだけ、寄り道していかない?」


文香がそんな提案をしてきた。


「うん?全然いいけど。どこに行くんだ?」


「えとね、実は私行きつけのお店ってすごく美味しいスイーツ専門店なの。


だけど、さっきお腹いっぱいになったから、少しでもお腹空かせたほうがより美味しく感じるんじゃないかなーって。」


うん。それはそうだ。ごめんね?1発目でラーメンにしちゃって。


「もう、また申し訳なさそうな顔する・・!


私としては、ラーメンすごく美味しかったから、連れてきてくれて感謝してるんだからね?


そもそも、行きつけのお店って大体食べ物系だと思ってたし。結局私も食べ物だし。」


だから気にしないで。と、やはり顔に出てた俺を気遣ってくれる文香。

その優しさを感じつつ、これ以上気を遣わせるのも申し訳ないのでもうネガティヴはやめます。


「で、お腹を空かせるといったらやっぱり体を動かすことだと思うの。だからどこかスポーツができるところに行きたいなーって。」


お!いいね。体を動かすのには賛成だ。

しかし、今の俺たちは満腹だ。

つまり、激しい運動はできない。お腹痛くなっちゃう。

ならば、激しくなく、それでいてしっかり体を動かすスポーツ、、、



ボウリングだな。


「うん。良いと思う。ただ、激しい運動は無理だと思うから、ボウリングとかどう?」


早速俺の中での結論を文香に申し出る。

すると

「それいい!ボウリングしたい!」


一気に目を輝かせ、なんちゃってフォームを疲労し始めた。


そんな姿にクスリと笑い、俺は近くのボウリングができる施設を探した。


〇〇〇〇〇〇〇〇


某地図アプリを駆使し、目的の場所までの道を検索する。すると、歩いて20分くらいのところにあった。


20分か、俺は平気だけど文香はキツいかもしれないな。靴がおしゃれだから。


一応、文香に時間と結構歩くことを伝えると

いい運動になるかもね。と逆に喜んでいた。



「宗則くんは、ボウリング結構してるの?」


道中はボウリングの話で盛り上がる。


「そうだなぁ・・・高校生の後半は友人とよく行ったな。あと、家族で。」


懐かしい。友人とは普通に楽しかったが、家族で行った時は点数勝負で父さんが強すぎて、飲み物やナゲットをめちゃくちゃ奢らされたのはいい思い出だ。ちなみに結梨もその被害者になった。


「へぇー。じゃあ、上手いんだ?」


「いや、それがそこまで上手くないんだよ・・・。そんなにストライクも出せないし。」


これは謙遜なんかじゃない。本当に上手くない。


「でも、大丈夫だよ?私よりは絶対に上手だから。」


「あ、もしかしてボウリング初めて?」


「うん。ずっとやってみたいなーって思ってたから、すっごく楽しみ!」


目を細め、胸の前で手を組みながらニコーっと笑う姿に俺の口角も上がる。

やば、、、カワ、、、。


でもそうか。なら、少しカーブとかできたらめちゃくちゃイキれるんじゃないか?!


スゴーイ!!カッコイイ!!ハンパナーイ


俺を褒めちぎる文香の姿が容易に想像できる。

今日こそ、ストライクを出してくれ!俺の腕!


「??どうしたの?急に腕を掴んだりして。」


「ん?あぁ、なんでもないなんでもない。」


高まる気持ちをどうにか抑え、平然を装う。


「あれだよ。ボウリングするとかなりの確率で筋肉痛なるから、それ思い出しただけ。」


「やっぱりそうなの?!へぇー!」


適当に誤魔化した事にもしっかりと反応することから、本当に楽しみなんだなと感じ、ほっこりした。


だからこそ、初めてのボウリングを心から楽しめるように、補助してあげたいな。




あれからボウリング場につき、電子パネルにて受付を済ませる。


そして、流行りの曲とピンが倒れる気持ちの良い音が響く場所へやってきた。


横目に見る文香は初めての光景に、キラキラと眩い目をして先客たちを見ている。


今日は平日なのに相変わらずの盛況ぶりだ。


「まず、シューズを借りに行こうか。」


ボウリング場では、決まった種類のシューズを履かなければならない。


だからまずは、そのシューズを借りに行く。


ボタンを押して、シューズを出したとき、文香が目を丸くしてたのが印象的だった。


それが終わったら、今度は球を取りに行く。

荷物はそこまで多くないからね。


まずは俺が球を取り、次に文香の球を選びに女性用が置かれている場所へ案内する。


わー!結構重ーい!とはしゃぐ文香にほっこりしながら、どんな球がいいよとアドバイスをしてあげた。


あとは、プレイするだけだ。


俺たちのレーンは『42』。


隣には、かなり上手い人がプレイしている。

残念イキれません。


球を置き、軽く腕を伸ばしつつ、パネルを操作してゲームを開始する。


よし、まずは早速お手本でも見せてやるか。


「文香。よく見てて。」


言うと文香ははいっ!と返事をして、俺の手元に視線を注ぐ。


「まず、基本的なボールの持ち方だけど、ここに3つ穴が空いてる。ほら、顔みたいな。

そしたら、ここの2つを目だとして、残りの1つを口だとしよう。

この目に中指と薬指を入れる。入れたら口に親指を入れる。そうしたら指が狐みたいになるでしょ?」


場所を示しながら説明をしていく。


「次は、穴に入れた指の方の手の甲をピンの方向に向けて、球を胸の前に持ってくる。その時に左手は球を支えるように持つ。」


「ここからは俺なりのやり方になっちゃうけど、一歩目に、球とともに右足を出す

二歩目、左足を踏み出して球を後方へ持っていく。

三歩目、後ろから前の方へ球を持ってきて、

四歩目で、球を離す。」


説明しながら実践する。


球はまっすぐ進み、ピンの真ん中を貫いた。


上の画面に大きくstrike!!と表示される。


「え?!いきなり?すごっ!!」


文香がテンションを上げながら両手を伸ばしてハイタッチを求めてきた。

それに答える俺の心の中は

(よっしゃぁぁぁぁぁ!!!いいとこ見せられたぜ!!Foooooo!!!)


・・・・・・んんっ!次は、文香の番だ。


一つ一つを確かめながら、慎重に丁寧に基本の姿勢になる。さぁ、一番初めは何ピン倒すことができるだろうか、、、。


案外綺麗なフォームから放たれた球は、一直線に右の方へ進んで行き、ピンの横を通り過ぎていった。


ガターだ。


大丈夫!みんな最初はそうだから!!キニシナイデ!


「あー。惜しい!!」


文香が悔しそうに戻ってきた。


「いや、初めてにしてはフォームめちゃくちゃキレイだったよ!ワンチャンあるかと思った。」


素直な感想を伝えると、えへへ、そう?と嬉しそうにしていた。


「ほら、今度はスペア狙いなよ。」


うん。とうなづき、文香は再度レーンに立った。


2回目にして、すっかり様になった姿勢で文香が球を送り出す、、、!


結果はガターだった。全く同じところへ進んで行った。


「・・・。」


・・・アハハ。初めてだもん。しょうがないしょうがない。球重いもんね。


「当たんない!!なんで?!」


なんでと言われても、、、。初めてだからとしか言えない。

しかし、フォームはキレイなので少し変えれば安定する気もする。


「じゃあ、次やるときに体と腕と手がまっすぐなるように心掛けて投げてみて。まっすぐ投けわれるようになると思うよ。」


そう言いながら、俺はもう一度ストレートで投げる。


するとまたstrike!!と表示された。

今日は調子がいいようだ。


「え、すご。2連続じゃん。

よーし。わかった。まっすぐね。」


そう言って、文香は真っ直ぐ、真っ直ぐ。と呟きながら、球を投げた、


すると、真ん中にこそいかなかったものの、右側のピンにヒットし、左側の3ピンを残すのみとなった。


「やったやった!倒せたよ!!」


倒れたピンを指差し、はしゃいでる。


「ほら、まだ3ピン残ってるぞ。そのままの勢いでスペアを狙おう!!」


「そっか!わかった!」


文香は二つ目の球を手に取り、スペアを狙うべく構えた。



〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


一旦、ここで更新します。


・5話になると思います。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る