第10.0話 約束を守るあなたが①

桜ヶ崎家について、一部ではあるが知ることができた。


この情報が役に立つかわからない。しかし、いざという時には十分な武器となるだろう。


ま、いざという時が来ないのが1番なのだが。






今日も今日とて、暇すぎる。


大学へ通う一人暮らしならバイトの一つでもするものだが、俺の場合はなんと学費も家賃も親が払ってくれている。

どこからそこまでのお金が出てくるのかわからないが、どうなってるのだろう。決して家は裕福でもないはずなんだけど。


まぁ、この話は置いておいて、あの男性に情報を貰ってから、自分なりに調べてみたりもしたがあの男性ほどに詳しいことはわからなかった。


これ以上自力で調べても無意味だと悟った俺は、ただただのんびりとゲームや動画などを見て過ごした。



そんな時、誰かから電話がかかってきた。



『・・・もしもし。結梨だけど。』


妹の結梨ゆうりからだった。


「おう。一体どうしたんだ?」


『あ、えっと。文香さんから兄さんが暇だって聞いて。・・・前私が言ったこと覚えてる・・・?』


どうしたのだろう。やけに心配そうな声で、、、。

以前結梨が言ったこと?なんかあったかな・・・。


『・・・もしかして、、忘れちゃった?』


「ん?いや!覚えてるよ!!」


やっべー。なんだっけ。ちょっと記憶辿らせてくれ。



〜〜〜


『━━ 今度は私と出かけてよ。買ってもらいたいものがあるの━━』


〜〜〜


あ!思い出した!!


『どうせ忘れてんでしょ。だったらもういっ━━。』


「あれだろ!?私と出かけてってやつ!」


これだよな?!てかこれ以外まじで記憶ない。


『━━。覚えてんなら良い。』


危ない危ない。この子は怒ったらちょっとめんどくさいからな。


『あの、、それさ、、、。明後日にしない?


明後日なら私も学校休みだし、兄さんも大学休みでしょ?ちょうどいいかなって思ってさ。』


『それとも、、兄さんにはもう先約がいるの・・・?』


スゥー…。別に先約なんてないんですけどね。ちょっと聞き方がずるいね。


「そんなのないよ。俺は基本暇なんでね。」


なんとか平静を装いそう答えた。


『ほんと??文香さんとも出かけたりしないの??』


「ああ。文香も仕事あるって言ってたし。久々にお前にも会いたいからな。」


『・・・・・ふーん。』


あれ?なんか間違えたかな?急にだんまりするじゃん。


『・・・んふふっ。』


「ん?なんか言ったか?」


『ううん。なんでもないよ。とにかく、明後日!時間は10時!場所はいつものところね。』


そして結梨は俺が何かを言う前にバイバーイと電話を切ってしまった。その後メッセージで、デートではないから。と念を押されていた。

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