囚われの彼女

「・・・案外、中の警備は薄いんだな・・。」


言葉の通り、建物の中は(裏口に近い場所ということもあるだろうが)静かで少し暗かった。


しかし、遠くの方ではわいわいガヤガヤと声が聞こえており、緊張は増していくばかりだった。


「・・・いや、大丈夫。


俺なら、文香を連れ戻せる。」


そう自分に言い聞かせ、どうにか緊張を和らげながら、俺はまた歩き始めた。



〇〇〇〇〇〇〇〇



「……。」


今日は、パーティーがある日。


私はその為の準備をしている最中だ。


広い部屋で、二人の女性が私を彩らせていく。


いつもの私とは全く違うメイクに、鏡に映る女は自分じゃないみたい。


キレイで、丁寧なメイクだ。


だから、欲を言えばこの顔は宗則くんにだけ見せたかった。


そんな思いは叶うはずもなく、私はもうすぐ大勢の人の前に出る。


部屋へと微かに聞こえてくるゆったりとした曲が鼓膜を揺らし、パーティーの始まりが近いことを知らせてくれる。


・・・私はこのまま、いわば婚活パーティーみたいな場所へ行かなければならないのだろうか。


自分で言うのもあれだけれど、私は自分の容姿に自信がある。


と言っても、宗則くんが素敵だと褒めてくれたからなんだけど。


まぁ、私に声をかけてくる男性はゼロではないだろう。


もちろん。誰ともお付き合いするつもりはない。


だけど、否定的な態度を取るのも後に響く。


それが嫌だから、私はこのパーティーに参加したくない。


どうにか、ここにいる女性たちに見つからないようにここから抜け出さなければならない。


いつまでも宗則くんに頼ってたらダメ。


今度こそ、自分の力だけで、宗則くんの前に帰るんだ。


・・・・・でも、やっぱり。



女の子としては、、好きな人に救われることが

とても憧れちゃうんだけどね。

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