23ー戦場⑧ ルナサイド
「あー。あの……、レティさん、ルナちゃん」
いきなり、暗いオーラを感じたかと思ったら、いつの間にか、ルナ達の隣に、ミラさんが立っていました。
ミラさんは、いつもの、人形には入っていませんでした。
「例の件……、完了しました……」
とても、暗い雰囲気で、報告をしました。
でも、何で、こんなに、暗いんでしょうか? 確かに、ミラさんは、人見知りな方ですが、声は大きい方です。
そう言えば、ミラさんって、日差しに弱いと言っていました。その日差しに当たると、このように、ネガティブな性格になるんです。
「そうですか。これで、街に被害が出ることは、防げそうですね」
「でも、まあ、それでも、こいつらが、近くにいたら、安心して生活はできないよ。戦争が終わったら、何とかしないと」
「そうですね。」
あれ? 今の『でも、まあ……』って、話たのって誰ですか? ミラさんの声ではないのは確かです。
横振り向くと。
「アイラさん!? 居たんですか!?」
歩兵のロゼッタさんの部隊の、離脱を指揮していたはずの、アイラさんが、いつの間にか、ルナ達の隣に立っていました。
「ルナ殿、アイラ殿は、ミラ殿と同時に到着しましたよ」
「僕がミラを抱えて、ここに、到着したんだ」
「それなら、ミラと同時に、話てくださいよ」
「それで? 作戦は実行するのか?」
「それがまだ、三体いる内の、二体のベヒモスがまだ、こちらにいないんです」
「それは厳しいな。僕はいつでも、魔術を発動できるよ。勇能力所持以来の特大魔術になると思うよ」
「期待していますよ」
「お! 心配はいらなかったようだね。二体同時、こっちに向かって来るよ」
あ! ロゼッタさん、メリア様、アニーさん、ソフィアさんが、二体のベヒモスを連れて来ました。
けど、これで、同じ場所に三体いることになります。
本当に上手くいくんでしょうか?
ガァオオオオオオ!!!
カイザ様の闘技でベヒモスの一体を吹き飛ばしました。
前の闘技では、吹き飛ばせなかったのに、今度は、ベヒモスの体ごと宙まで、吹き飛ばしました。
さっきのベヒモスの攻撃で、カウンターが発動した結果なのでしょうか?
ドーーーーーン!!!
吹き飛んだ、ベヒモスは、到着した二体のベヒモスに激突しました。
カチカチカチカチ!!!
重なった三体のベヒモスは、急に凍り始めました。
魔力の流れ的には、アニーが発動させた氷の魔術のようです。
それに、あの場所は、指定場所の真上です。三体共、指定の場所の上に立ちました。
凄いです。到着したばかりなのに、次々と作戦を実行するための準備を進めています。
凍らせたとはいえ、完全に動きを封じたわけでは、ないです。
「今よ! ルナ殿! アイラ殿!」
レティさんの合図で、いきなりベヒモス達を囲む様に、無数の鎖が地面から生えて来ました。
この鎖は、アイラさんが発動させた、地の魔術です。
無数の鎖は、ベヒモス達の体を、巻きつき始めました。
ベヒモス達は、暴れ、鎖が引きちぎっています。
しかし、目的は、拘束では、ないです。
「これが、本命です!」
ルナは、既に、詠唱を済ませた、魔術を発動させました。
上空から、巨大な岩の槍が降下していっています。
これは、ルナが発動させた、地の魔術で、地上の土や岩を、吸い込むように、収束させて塊を作って、それを飛ばす、魔術です。
巨大な岩の槍は、ベヒモス達に落ちていきました。
やはり、巨大な岩の槍にぶつかっても、ベヒモス達は、びくともしません。
しかし、これでいいのです。こんなに、重いものが、乗っかれば。
ピキピキピキピキ!!!
ベヒモス達がいる場所から、ひびが生えて来ました。
ドーーーーーン!!!
突然、大きな穴が空きました。その大きな穴にベヒモス達は、落ちていきました。
ルナの発動した、巨大な岩の槍と、大きな穴が空く時に、発生した瓦礫で、穴が塞がりました。
「上手く行った。奴らは、生きているか、一先ず、戦場内での、脅威は去った」
実は、この下には、空洞があり、その空洞で川が流れていたんです。レティさんは、地図で、川が示した場所が、途切れていることに目を付けて、その場に詳しいシグマ様に聞いて、その川が空洞を通って、流れていることを聞いて、作戦を立てました。
つまり、ベヒモス達をその空洞へ落とす作戦だったんです。アイラの地の魔術で地盤を弱くさせて、ルナの魔術で、その上にいるベヒモス達に、圧を掛けて、地盤を崩したんです。
ちなみに、ミラさんは、その空洞の出入り口を塞いていたんです。空洞には、川が流れているから、落ちても、出れない様にするために。
「さて、ベヒモスを実質、機能停止にしたわけだし、僕らは、戦場へ……」
その時でした! 強い、魔力の流れを感じました。
これは、昨夜の!?
「気をつけて下さい! あれが来ます!!!」
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