5-2 ナギサイド (場面変更)
エドナ達と別れた、カチュアとルナはアヴァルの街内にある。武器屋を訪ねることに。
賭博場の魔物騒動で、カチュアの剣がダメになったから、新しい剣を購入するためだ。
中に入ると確か、名前はハルトだっけ? エドナの知り合いの武器屋のハ……いや、おじさんだ。
「君達は確か、ちっこい嬢ちゃんの連れの。名前は確か……何だっけ?」
「ちっこい嬢ちゃん」ってエドナのことだよね? 確か、このハルトっていう人は、人の名前を覚えない癖があったんだっけ? てか、本当に、エドナの知り合いか? 付き合いのあるエドナの名前を覚えていないのか? 老化がかなりのスピードで進んでいるんじゃないのか?
「ちっこいって、エドナさんのことですよね? それにルナはルナです。こちらはカチュアさんです」
「そうだった。でも、その嬢ちゃんはフード被っているから。顔を見たことないんだ。後は蒼色の瞳しか」
カチュアはマントを外した。
「外したよ~」
「ちょっと! カチュアさん!」
「この人はだいじょぶよ~」
カチュアの容姿を見た、ハルトは、驚いた顔をしていた。
「これは驚いた、まるで伝説の女将軍だ。それに、ちっこい嬢ちゃん以上にデカい。確かに目立つな。これじゃ普段は変装しないとだな」
今思うと、フードだけ、取ればいいのでは?
「で、要件は?」
「使っていた剣が折れたから、新しい剣を買いにきたの~」
カチュアは折れた剣を出す。
「蒼の嬢ちゃんさあ」
「マント」から「蒼」になっている。
「剣は消耗品ではないんだ。武器は敵を倒す道具ではなく、自分の身を守るパートナーだぜ。大切に使わないと」
呆れられているよ。
ハルトは頭を掻きながら、カチュアが使っていたのと同じ剣を持ち出した。カチュアが扱う剣のことだけあって、運ぶのに、苦労しているよ。
「ほれ、前と同じ剣だ」
「ありがとね~」
「ん~、しかし、これは嬢ちゃんに合った剣を作らないと」
「ハルトさんは作れないの~」
「素材がないとだ。でも、素材を手に入れても、それを加工する技術がないと。小人族がいればなあ」
「確か、魔道具を最初に作った亜種ですね」
小人と聞くと、やはり、人間よりか背が低いのかな? どれくらい低いのかな? やっぱりエドナぐらいかな? 一部分、「巨人」だが。
「手先の器用な奴らでね。蒼の嬢ちゃんが扱えられる剣を作れると思うんだけど」
「彼らは人前に現わることはなくなりましたかので」
「これも、人間の歴史だな」
その「人間の歴史」と聞くと結構、ドロドロした関係になったとイメージがあるんだけど。何が合ったんだ?
「まあ、俺も出来る限り、蒼の嬢ちゃんが扱えられる剣を作ってみるわ」
剣を購入し、武器屋を出て、宿屋へ向かう。
「そう言えば、ナギさん、今出れます?」
「今は」
「ちょっと、目が片方しか、変わっていないよう」
「ほんと~?」
「うわ! カチュア!」
私が表に出ているのに、カチュアが喋れている。
「なんか~、面白いね~」
「面白くねぇよ!」
「ややこしいことになったわね」
「まあ、普段よりかは疲れにくくなっているから」
「それなら、よかったわ~」
「お互い、喋り方に特徴があって、助かったわ。ナギさんって、時々、男性ぽい、口調になることがありますから」
私って、そこまで男性口調かな? 確かに、自分で思うんだが、時々乱暴な口調になっていた記憶があるような。現在、精神体だけど、自身は女性だった記憶があるんだが。でも、カチュアと比べ、喋り方に特徴や、性格の違いで私のことを信じやすくはなったから、そこは助かるわね。それとも、周りの人が柔軟性があるせいかな?
「そう言えば、話たいことって?」
「おかしな事がないかって? 現在進行形系で大変なことになっていますが」
「まあ、此間も喋りたい時に喋べれなくなったりと、まあ、変なことになっているよ」
「やっぱり」
「やっぱりって」
「先程、疲れにくくなっているといっていましたが、もしかしたら、ヤバい状態かもしれません」
「どういうこと?」
「順に追って説明します。ナギさんの精神が、カチュアさんの中に入って、しまったのは多分、魔術の一種でしょうね。でも、そんな技術は魔術研究員でも知らない。となると、誰かが開発でもして、実験かなんかしたんでしょうね。カチュアさんは覚えは?」
「ないわ~」
「じゃあ、ナギさんの本来の体から抜けて精神体だけになって、それをたまたま、カチュアさんに入ってしまったかもしれません。でも、魔術研究員でも知らない技術を使ったなら」
「もしかして……」
やな予感はする。だって、私の表の出方が変わっているんだから。
「うん、きっと、未完成な魔術だったのか、もしくは完成されていも、副作用を起こしたかはわからないですか、きっと、ナギさんの件は失敗で変な不具合を起こしているのね」
「失敗だったんかい!」
「まあ、あくまで可能性の一つです。けれども、新しい魔術の開発にしても、失敗が付き物です。まあ、メリオダスの隠された魔術かもしれませんが」
メリオダス。今まで忘れていたんだが。エドナの村を襲ったヴァルダン兵が口にしていた台詞をふっと思い出す。
「今更だけど、エドナの村を襲った、ヴァルダンの連中は出来れば、メリオダスの禁書を求めることを言っていたな」
「あー。ヴァルダンじゃなくっても、メリオダスの禁書は誰でも欲しい代物です。魔術革命を起こした魔術研究員でしたからメリオダスは。禁書と言いますが、正確には研究資料や魔道具の設計図などです。メリオダスの技術は危険だがら禁忌また、禁書と呼ばれています。それに、まだ、世に知られていないことが記されているって噂もあります」
「破棄はしなかったのか?」
「色んな人がいるんですよ。破棄命令があっても命令を無視して、隠してしまう輩とか」
「なるほど」
欲深い人間の歴史か。こういう時に限って、後々、大きな災いを招くんだよね。
「いづれしても、早めにカチュアさんとナギさんを引き離さないと、変な方向に不具合が発生するかもしれないです。例えば、カチュアさんとナギさんの精神が融合して、一つの人格になるとか」
「考えたくないわ~」
出来ればなりたくないが、否定されるのも、なんか嫌だな。
でも、そう考えると私って現状、悪い方向で例えると寄生虫か。カチュアの魂を喰らい尽くす存在かもしれない。さっき、ルナがいっていた、疲れにくくなっているのが、ヤバい状態かもしれませんという話はそういうことか。つまり、私がカチュアの体に馴染んできているってことを。
嫌な話になってきた。話題を変えよう。
「これも今更なんだか、なんでカチュアに容姿を隠すようなマントを着させたの? 確かにカチュアは伝説の女将軍と似た特徴にムダにでかいチチをして、目立つが、隠す必要なんてないでしょ」
「ムダにデカいって、酷い~」
「確かに、ムダにデカいですが」
「ルナちゃんまで〜」
「容姿だけならね。嫁として欲しいかもしれませんが。でも、一目見ると覚えやすい特徴に加え、カチュアさんは戦闘力が高いです。どの時代でも力を欲するものはいます。勿論、この国にも」
「カチュアの力を知れば、引き入れたと考える輩がいるって、ことね。噂が流れてしまったら、カチュアの容姿なら早めに見つかってしまうってことね」
「自身に闘う力がない貴族は戦力強化を求めがちです。より良い、人員を揃えるのも、貴族としての器を示せますから。醜い争いにカチュアさんを巻き込む訳にはいけません」
世は戦闘員として、引き入れか。確かにカチュア一人だけでも、戦況に大きな変化をもたらしてしまう。でも、カチュアの生き方があるから、ルナはカチュアの存在を、そんな輩から守りたいわけか。
「どーいうことなの〜?」
「私が分かったから、カチュアは気にしないで」
カチュアだけと話すなら。いつもは表に出さないて、カチュアに声を聞かせているが、わざわざ、カチュアの口で喋る。
「なんか、酷い扱いをされているような~」
「あー、気のせいだから」
カチュアが急に街の外側を見つめる。
「ん? 何か、外が騒がしいわね〜」
「え? ん~……聞こえるんですか?」
「行ってみよう~」
「ちょっと! 待ってください!」
カチュアが走り出し、ルナがそれを追いかける。
「カチュアさん!」
聞き覚えのある、声がしたから振り向いて見ると、服屋に出かけていたエドナ、ユミル、ソフィアだった。
「エドナちゃん達だ~。どーしたの?」
「カチュアさんとルナさんを見かけたので、追いかけてきたのです」
「あれ~。エドナちゃん、服が出かけた時のままだけど、買わなかったの~」
すると、エドナの顔が赤くなっていた。
「それがですね。サイズを測ったのですが、エドナさんの胸のサイズでは特注になっちゃったんですわ」
あんたもかよ。そう言えば、出会った時よりも、胸が大きくなったような。
「それよりも、何かありました?」
「外が騒がしいのよ~」
「え? わたくしには、全く、聞こえないようですわ」
「カチュアさんは耳が良くって、結構離れているところまで、聞こえるんだよ」
「ルナ達は今、その騒ぎのあるところへ向かう途中なのです」
「よーし、じゃあ、皆んなで、行こうー。あ! でも、おやつとか、持って行きたいな。干し肉とか」
「あの~、エドナさん、遠足じゃありませんから」
てか、おやつに「干し肉」かよ。
「あの~、なんでソフィアさんの顔が真っ赤何ですか?」
確かにソフィアの顔が真っ赤になっている。で、よく見ると、顔の所々に出血している。
「カチュアさん達を見かけて、追いかけてる時にエドナさんが転んでしまい、ソフィアさんにぶつかったんです。そのままソフィアは飛ばされて、壁に激突したんですわ」
「参りました。エドナ殿に背後を取られました。あんな殺気を感じられない奇襲は初めてです」
「いや、エドナさんは命を狙った訳じゃないから。ただ、転んだだけですから」
「とにかく行こ~」
「あ! そうでした」
エドナ達と合流して、街の外向かう。
「ところで、カチュアさん」
「何~」
「カチュアさんって、普段何食べているんですか? と言うよりかは、好きな食べ物って何ですか?」
「え? お肉よ~」
「やっぱり、お肉なんですね」
「それがどーしたの?」
「なんでもないですわ」
「ん~?」
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