ナレーション エドナ

 あたしの冒険の始まりはある女性との出会いだったんだよ。


 この出会い以降、あたしは想像もしていなかったんだよ。あたし達が、人類最大の敵とされている厄災に立ち向かうことになるなんて!


 厄災。


 それはこの地、マギ大陸における災いの象徴なんだよ。


 誰しも忘れたいんだけど、何年の月日が立っても人々の記憶に残る存在。


 それは人の命、街そして人々の築き上げた文明を一瞬で崩壊をするもの。


 だけど、人々は、ただ、黙って、見ているだけでは、なかったんだよ。


 厄災が現れるたび、人はそれに対抗するための力を得て、厄災に立ち向かっていったんだよ。


 特に、蒼い髪と瞳を持った伝説の女将軍シェリアさんのような、あたし達の時代で英雄と呼ばれるようになった人達によって、厄災を退けていったんだよ。


 厄災を退けた、その後の世界は、いづれ、新たな厄災が現れ、それに対処しべきために、強い国、強い軍、戦いのための技術や道具、など、人々は日々、強い力を求めてきたんだよ。


 だけど、人々の、力を求める思念は、あまりにも歪んでいたんだよ。


 強い力を持つ者は、常に弱き者を虐げていく。力を手に入れるためなら、手段は選ばなかったんだよ。いつしか、人の持つ、優しいは失われつつあったんだよ。


 あたし達はそんな、力を求める者達が、引き起こす戦いに、巻き込まれているんだよ。


 あたし、エドナと、神を殺す者。……うんうん。まるで、あたしが幼い頃から読んでいた英雄譚「蒼炎伝説」。その本に載っている、当時の厄災を倒した、伝説の女将軍と同じ、蒼い髪と瞳を持つ美しい女性。


 カチュア。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る