16-4 エドナサイド

 あたし達は、ダグザから、レティさんが手配してくれた船に乗って、セシル王国にたどり着いたんだよ。初めての船旅はワクワクしたんだよ。船って物凄く速く進むんだね。レティさんの助言で、船の上から、その後方に風の矢を打ち込むようにって言われて、あたしは船が動きだすのと同時に、風の矢を放ったんだよ。あれ、どういうことかな?


 船に乗るのは良かったんだけど、船の上は滑りやすくなっていて、あたしはセシルに着くまで、何度か滑って、何度か転んで、何度か海に落ちちゃったんだよ。そのたびに、泳ぎが得意なスイレンさんが助けてくれたんだよ。船も速く進んでいたけど、それに負けないぐらい、スイレンさんの泳ぎは速かったんだよ。


 ルナちゃんから、船の上にいると危なそうだから、舩中に待機するようにって言われて、舩中にいたんだけど、船が揺れるたびに、転んで、壁を突き破って、海に落ちちゃったんだよ。


 今度は、カチュアさんの膝に座って押さえてもらったんだけど、それでも、船が揺れると、あたしはカチュアさんの膝から飛んで行っちゃったんだよ。幸い、海に落ちなかったんだけど、あたしが飛ばされる拍子にカチュアさんの服を掴んじゃったから、服が破れて、カチュアさんの大きなお胸が丸出しになっちゃったんだよ。カチュアさんには申し訳なかったんだよ。


 それと同時に、何故か、船の上が赤く染まっていたんだよ。赤くなっていた船の上にはレティさんの部下さんが倒れていたんだよ。そして、大変なことに、船を操縦していた人も倒れていたんだよ。誰も操縦する人がいない中で、メリアさんが船の操縦が出来るからメリアさんの操縦でなんとか、セシルにたどり着いたんだよ。メリアさんへルディアの方々は船を使っての戦いを想定して、船の操縦の仕方を学ぶそうなんだよ。アニーさんとギルティさんも船の操縦ができるのかな?


 カチュアさんの破れた服はスイレンが直したんだよ。


 セシル王国にたどり着いた、あたし達は、早速、セシル城へ向かっていったんだよ。そして、その道中の山中で、登って、その後、下っていた途中で、転んで転がちゃったんだよ。はうう。


 そしてようやく止まったんだよ。


「エドナちゃん。だいじょぶ?」

「はうう。何とか」


 目の前にいたのは、転がったあたしを追いかけきたカチュアさんだけなんだよ。皆と逸れちゃったんだよ。


「何者だ」


 ぞろぞろと鎧を着た人達が、あたし達のいる方へ向かって来たんだよ。ここはセシル王国だから鳥人族の国。でも、その人達は背中に翼を生やしていなかったから、この人達はコルネリアの兵士さんかな?


「え? カチュアよ~」


 カチュアさんは、その人達に挨拶をしたんだよ。


 すると、兵士さんは、じっと、カチュアさんを見つめているんだよ。


「蒼い髪に瞳、そしてデカいオッパイ! これはいい手見上げだな」


 具合でも悪いのかな? だって、鼻から血を吹き出しているから。


「いや待って! あの緑髪で、耳を隠している子。噂の妖精族ではないか?」

「言われてみれば。耳を確認しない限り断言はできないが、二人纏めて、捕らえればいいか。よし! やるぞ!」

「おお! あの、オッパイを吸いたいぜ」

「オレ、女性のオッパイを揉んだことないから、その子のオッパイを揉みたいぜ」

「おい、何言っているんだ? それだけで、満足するなんて、女性経験なさ過ぎだろ? やっぱ、体の交際をしなければ」


 兵士さん達は次々と武器を構え始めたんだよ。


「カチュアさん、戦いますか?」


 あたしは、弓を取り出したんだよ。カチュアさんも鞘から大剣を抜いたんだよ。


「ん~。戦わないと、エドナちゃんが危ない目に会うから、戦うけど~。それよりも、戦う気のある人に任せましょう。下手したら、わたし達が巻き込まれそうだから~」

「どういうことですか?」


 カチュアさんに尋ねると。


 グッチャ!! メリメリメリ!!


 空から、オリーさんが降りてきて、兵士さんの一人を踏みつぶしたんだよ。


「お二人共、無事ですか?」

「あ! はい!」


 オリーさんに踏みつぶされた兵士さんは体全体が地面に埋まれちゃったんだよ。


「やはり、お義姉さんの直伝の踏み技とはいえ、お義姉さんの様に、踏みつけた相手を粉砕にはできませんですね」

「貴様何者だ!?」

「この二人の仲間が!?」

「よく見たら、こいつも中々の別嬪さんではないか」

「よし! こいつも捕らえるぞ!」

「でも、こいつは獣人族だぞ。気を付けろよ」


 兵士さん達がオリーさんを囲んだんだよ。


「チッ! 私を抱いていいのは……」

 

 オリーさんが兵士さん達の一人に蹴りを入れたんだよ。


「レオちゃんだけなんだよ!!!」


 オリーさんに蹴られた兵士さんは後方へ吹き飛んだんだよ。そして、樹木に当たると、樹木が倒しながら飛んで行ったんだよ。そして、次々と樹木に当たるたびに、樹木が倒れて行ったんだよ。そして、蹴られた、兵士さんは見えなくなったんだよ。


「おりゃ、おりゃ!! 次々と行くぜ!」


 オリーさんが、次々と兵士さん達を蹴りを入れて、兵士さん達を吹き飛ばしていったんだよ。


 だけど、気のせいかな? オリーさんの蹴りは、兵士さんには当たっていないはずなのに、兵士さんは吹き飛んだんだよ。それに、オリーさんから強い風を感じるんだよ。この風は魔術使用した時に発生する風かな? ということは、オリーさんは風の魔術の使い手かな? 蹴りと同時に風を生み出して、その風で、兵士さん達を吹き飛ばしているのかな?


「くっそ! 捕らえるのはやめだ! 命がなくなる! これでもくらえ!」


 兵士さんの一人は、オリーさんの背後を取って剣を振り下ろしたんだよ。


「危ないんだよ!!」


 間に合わないんだよ!


 バキーーーン!!!


 何故か、オリーさんを斬ろうとしていた剣が真っ二つに割れたんだよ。


「そんな攻撃通用すると思ったか? ああ!!」


 オリーさんの周りには小さな竜巻を纏っていたんだよ。それが兵士さんの振る剣から、オリーさんを守ったんだよ。


「私に、剣を向けたこと、後悔させてやるぜええええ!!!」


 オリーさんを纏っていた竜巻が徐々に大きくなっていって、それが、兵士さんに接触して、兵士さんは空高く飛ばされていったんだよ。


「ふう。終わりましたね」


 オリーさんは笑顔でこっちを見ていたんだよ。何とか、コルネリアの兵士さん全員を、オリーさんのおかげで、倒すことが出来たんだよ。


 でも、さっきのニコニコ笑うオリーとは、感じられない程の怖い雰囲気を出していたのは気のせいだったのかな?


「カチュアさんに、エドナさんですわ。無事でよかったわ~」


 声をする方へ振り向くと、サリナさんに加えて、ユミルさんとソフィアんの姿があったんだよ。無事だったんだね。


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