5-4 エドナサイド

「着いたわ~」


 あたし達は、ソフィアさんが予測したヴァルダン軍が向かうかもしれない村に着いたんだよ。だけど、まだ、ヴァルダン軍は来ていなかったんだよ。


「ここはまだ、ヴァルダン兵は来ていないですね。どうやら、間に合ったみたいですね」


 あれ? ソフィアさんって、空を飛んで、ここまで来たんじゃなくって、自分の足で走ってここまで来たんだよ。


「そういえば、ソフィアさんって、何で、空飛ばなかったんですか?」


 ソフィアさんに尋ねると、ユミルさんが。


「エドナさん。ソフィアさんは、セシル王国に住んではいますが、実は、鳥人族じゃないんですわ」

「そうなんですか? 初めて知ったんだよ!」


 てっきり、鳥人族かと思ったんだよ。確かに、ソフィアさんは飛んでいる姿どころか、翼を見たことがなかったんだよ。


 そう言えば、何で鳥人族だと思ったんだろう? 鳥人族って、一言も言っていなかった気がしたんだよ。


「まあ、私は亜種に変わりはないのですが、セシル王国に住んでいるからって、鳥人族とは限りませんよ」

「だから、空飛んだ素振りがなかったんだね。じゃあ、何の亜種なの?」

「今はそれどころではないのでは? カチュア殿じゃなくっても感じられますよ」


 感じる? 何のことだろう? カチュアさんが遠くの景色を眺めながら。


「ん~、この先から聞こえるわ~。人の足音が」

「近いですか?」

「もうすぐに来るかもしれないわ~」

「どうします?」

「この距離間で、避難誘導しても、村人の足では追いつかれてしまいます」

「じゃあ~、倒すしかないかな~」

「ええ!!! それは余りにも」

「ん~、少なくっとも、時間稼ぎしないと」

「うん、このままでは村が壊滅します」

「じゃあ、行こうか~」


 カチュアさんの案内で向かってみたんだけど、目的地にいたのは鎧を付けた人達が一杯いたんだよ。その人達は村の方へ向かっている。


 あたし達は茂みに隠れて様子を見ていたんだよ。


「ん~、来ては見たけど、どーしようか~? 全員相手には出来るけど、戦っている隙に村を襲われたり、増援を呼ばれたらどーしよう」

「以外と冷静だな」


 さっきまでカチュアさんが喋っていたのに、ナギさんが出てきているんだよ。


「というより、カチュアさん。あれを全員相手に出来るんですね。わたくしには無理です」

「でも、非効率過ぎます。ここは私に任せてください」

「何かいい方法あるの~?」

「はい。ところでエドナさん。以前、私の教えた、弓技は出来ます」


 あ! セシル王国に滞在していた時に、ソフィアさんにあたしの風の矢を使った、応用技を教えてくれたんだよ。


「あれでしょ? うん、バッチリ」

「不意打ちは余り好ましくありませんが」


 ソフィアさんの策を聞いてみた。




 あたしたちはソフィアさんの策通りに動くことになったんだよ。


 策を聞いている途中眠たくなったんだよ。だけど、ソフィアさんには気づかれていないんだよ。


 あたし達は茂みに隠れんだよ。そこから、あたしは弓を構えているんだよ。


「教えたとおりにできますか?」

「大丈夫だよ。これでも物覚えはいいんだから」


 まずは、あたしがヴァルダン軍の真上に、風の矢を放つんだよ。


「なんだ? あれは?」

「ほって置け、鳥だろ?」


 この風の矢は上空で止まったんだよ。この魔術はソフィアさんに教えてもらったんだよ。ただ、あたしが使うのは風系統の魔術でソフィアさんは雷系統の魔術、それだけは違うけど、後は同じだよ。この上空で止まった風の矢は、時間が経過すると、雨のように無数の矢が降り出すんだよ。


「なんだ!? これは!?」

「矢か? 敵襲だ! 敵襲ー--!!!」

「誰だよ!? あれを鳥だと言った奴は!?」

「お前だって、油断していただろ!」

「お前もだろ!」


 ヴァルダン軍はパニックになっているんだよ。


 そして、ユミルさんは鞘から納めた刀を敵を斬りつけるように抜いたんだよ。同時に津波が出てきて、ヴァルダン軍に襲い掛かったんだよ。


「今度は津波!?」

「ここは陸だぞ!」

「飲み込まれるううううううう!!!」


 津波はヴァルダン軍全部を飲み込んだんだよ。


「これは、おまけです」


 ソフィアさんは雷を付着させたナイフを津波目掛けて投げたんだよ。すると、津波から電気がバチバチと鳴らしていたんだよ。


「ぐわわっわわわわわっわわ!!!」


 ヴァルダンの兵士の人達の、叫び声が、響き渡ったんだよ。


 津波が納まると、殆どの、ヴァルダン兵はダウンしているんだよ。だけど、まだ立っている、ヴァルダン兵もいるんだよ。


「この……」


 立ち上がったヴァルダン兵の一人に。


「ぐほほほほほほほほお!!!」


 カチュアさんが敵の懐を殴り飛ばした。


「奇襲か!」

「しかも、女数人だけでか?」

「なめたことを、しやがるな!」


 カチュアさんに攻撃を仕掛けるも、カチュアさんは攻撃を躱わしていったんだよ。躱わしながら、敵の腹や背中を殴ったんだよ。剣も使うけど、敵を斬らないで攻撃を受け止める盾代わりにしていて、相手が敵でも殺さないようにしているんだよ。


「ひひ!! なんだよ、あの女達は!? 女性の仮面を被った、化け物か?」

「怯むな! ここで、失態が知れ渡ったら王に処刑される。ここでやらなければ」


 敵の一人が大きな剣をカチュアさん目掛けて切り裂かうとするが。他の敵たちも武器を構えているんだよ


 バキーーーン!!!


「何?」


 カチュアさんは隠して持っていたナイフを投げつけて、敵の大きな剣に命中すると剣が折れたんだよ。


 カチュアさんは攻撃の手を休まず、ナイフの投げつけて、敵の持っている武器に命中させて武器を壊していったんだよ。


 カチュアさんはどこにナイフを入れていたか、わからなかったけど、胸の谷間から取り出すところを見たんだよ。あんな使い方ができるんだね。


「ぎゃあああああ!!」


 ビリビリ!!


 突然の悲鳴が!


 それは、敵が驚いたような顔をして、よそ見をしていたんだよ。その隙に、ソフィアさんは、その敵目掛けて、雷の魔術を放ったんだよ。


 ヴァルダンの人達はしびれて、次々と倒れたんだよ。


「ソフィアさん! やりすぎですよ!」


 ユミルさんが心配するんだよ


「安心してください。手加減はしたはずです」

「よかった……」

「……たぶん」

「え?」

「そんなことよりも、生かしたんだから拘束しないと。ロープありますので。縛っておきましょう。カチュア殿できますか?」

「うん、やってみる~」


 ソフィアさんは、どこに隠し持っていたか分からないんだけど、ロープを取り出して、そのロープをカチュアさんに渡したんだよ。


「ユミル様とエドナ殿は見張りをお願いします」

「わかったわ」

「カチュア殿。倒れているとはいえ、不意打ちには気をつけてください」

「わかったわ~」


 カチュアさんたちはロープで、ヴァルダン兵をロープで縛り始めたんだよ。


「それにしても、カチュアさんはナイフ裁きも凄いんだよ」

「ソフィアさんに教えてもらったそうなんですよ。カチュアは元々剣を投げていましたから」

「それにお胸にあんな使い方ができるんだね」

「大きい人じゃないと難しそうですわ」

「あたしもやってみようかな?」

「エドナさんの場合は取り出そうとしたら、間違って服を掴んで破きそうですわ」

「そこまで、ドジじゃないんだよ! あたし」


 そんな、ユミルさんと話していると。


「ぐえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


 急に男の人のうめき声が聞こえていたんだよ。


 振り向て見たら。カチュアさんの髪から一瞬だったんだけど、炎みたいなものが見えたんだよ。


 ……そうじゃなくって、ヴァルダン兵の人が、うめき声を出しながら、暴れている。何で?




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