5-?

「そうですか、破れましたか」


「申し訳ございません。私の力不足です」


「いえ、いえ、失敗はしましたが、あのクレイズに策を受け入れさせた時点、あなたの才は素晴らしいものです」


「恐縮です」


「しかし、ヴァルダンが失敗となると、別の方法で計画を実行させなければ。何か、策はあるか?」


「やはり、皇子を利用をするのがよろしいでしょうか? あの方は時期皇帝だと自称していますが」


「あのゲ……皇子は知らされていないが、皇帝候補から外されている。皇帝様は皇女に時期皇帝にしたがっている。懸命の判断ができたものだ。今のあの方でも、人の心がまだ残っているのか。確かに、時期皇帝はあの皇女様が向いている。そこを利用をすれば……いや、皇子を使うのは余りいいとは言えない」


「ハッキリ言って、人望ありませんから。あの方は。……となると、新たな戦、それも、内乱が起きるきっかけがあれば」


「内乱か。何か策でも?」


「いいえ。ただ、妖精族か小人族でもいれば」


「夢のまた、夢ですね。彼らはある事件がきっかけで姿を見せなくなった。でも、確かに、彼らがいれば、戦いは起きる。帝国内で」


「皇子や妖精族に関しては保留で、私の方で別の策を考えてみます」


「頼む」


「では」


「ふう、あと一歩のところで止まってしまった。しかし、成功すれば奴の時代は終わる。結局、奴は悪帝と同等だったな。まあ、仕方がなかったでしょ。奴はこの世界の仕組みを知らなかったですから。あなたの犠牲は無駄にはしません。有効活用しますよ。ただ、厄災と呼ばれる存在だけにはならないで下さいよ」




第五章   蒼炎の再現 完

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る