18-7 マリンサイド
妾とカチュア、ユミルの三人はロランス内にある、とある街の近くに現れた魔物を討伐しているところだ。アイラ達は別の街や村に行って、魔物の討伐をしている。
「これで終わりだぁぁぁぁぁぁ!!!」
残り一体を、闇の魔術を纏った、妾の武器である鎌で切り裂いた。
「ふう、終わったぜ……」
とは言っても、この街に現れた魔物は殆どが下級魔物だから、妾でも何とか倒すことができやがったぜ。でも、一番、魔物を多く倒したのはカチュアとユミル。
カチュアは蒼い炎を使わず、魔物を一層しやがったぜ。だけど、もし、現れたのが、上級魔物だったら、蒼い炎を使わずにはいられなかったはず。
ユミルは発狂しながら、刀を振り回していた。いつみても、あの刀を魔物よりも脅威に感じてしまう。
「何とか終わったわ~」
「ところで、エドナを行かせてよかったのか?」
エドナは敵陣に向かうレインの部隊と共に行ってしまった。現在のロランスでは治癒術を扱える者が少ないため、エドナが自ら、同行するよう申し出たんだ。エドナはゲス兄に狙われているのに、カチュアから傍に離れて大丈夫なのか?
それよりも、何で、妾、さっきまで、エドナが治癒術を使えることを忘れていたんだ? 散々、エドナが治癒術使っているところを見ていたはずなのに。
やはり、エドナは、脅威の風の魔術を使うイメージが定着しているんだ。そのせいで、エドナが治癒術を使うイメージがなくなっていたのか?
「エドナちゃんが決めたことだから、無理に引き止めるわけにはいかないわ〜」
「能天気なのか、他人の意見に尊重できるのか」
それにしても、この魔物の大軍がゲブンの仕業なら、ゲブンは何故人間の兵を使わない? セシルでコルネリア軍に攻められたと知らせを聞いたから、攻めて来たのがコルネリアって分かったから、人間の兵はいたはず。なのに、妾達が着いた頃には、魔物しか相手にしていない。
つまり、最初はコルネリア兵で攻めて来て、後から、魔物を使ってロランスの侵攻をしていたってこと?
行動が謎過ぎる。でも、相手があのゲブンだから、何も考えないで攻めて来たはずだから、考えても仕方がない。
……いや待てよ。ゲブンは頭は悪いが悪知恵は働かせられる。あのゲス兄のように。だとしたら、何か意味があるはず。
待てよ。そう言えば、セシルのコルネリア侵攻で、カチュアとスイレンが魔物化した元貴族達と戦ったと聞いていた。
だとしたら、まさか。この魔物達は……。
「ん!」
「どうした、カチュア!?」
「エドナちゃんの風の矢が……」
「矢がどうした?」
「……消えたわ~」
え? どういう状況? さっぱりわからない! でも、風の矢を使ったということは、エドナ達は敵と交戦をしているってことか?
だとしたら、エドナが放った風の矢が消えたって……。
「魔術の効果が切れたからじゃないのか?」
「消えたというよりかは消されたっていうのが正しいかしら~? そして、消えた同時に、禍々しい気配を感じたわ〜。それも以前に感じた気配だわ」
「禍々しいって」
「これは……! 思い出したわ〜」
カチュアは急に走り出した。
「カチュア! どこにいく!?」
「エドナちゃん達が向かった先に、ロゼちゃんのお父さんを殺した人がいるわ〜」
本当に訳が分からない。ロゼッタの父親を殺した人? それって、確か七年前の
「どういうことだ!?」
「とにかく、急がないとだわ〜。エドナちゃん達が危ないわ〜」
「あ! 待ってください~」
「あ! 妾も!」
妾とユミルは走り出すカチュアの後を追うため、走り出す。訳が分からないが、急いだ方がいいかもしれない。
普段のカチュアは急ぐことはあっても、慌てている様子を見せないのんびりした表情だが、今回は違う。いつもの、平和そうな表情ではなく、カチュアに似合わない、険しい表情だ。
一体、何があるんだ? カチュアが血相変えて走り出すほどの。
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