第31話





「チャクラは全部で十二ある。空海そみ、お前に教えたのは、第七チャクラまでだ。


 第一チャクラは『ルートチャクラ』で、『赤く』燃える【命】のチャクラだ。


 第二チャクラは『セクシャリティチャクラ』で、『オレンジ色』の揺蕩う【気】のチャクラだ。


 第三チャクラは『ソーラープレクサスチャクラ』で、『黄色い』デリケートな神経で【光】のチャクラだ。


 第四チャクラは『ハートチャクラ』で、『緑色』の深い愛の証である【心】のチャクラだ。


 第五チャクラは『スロートチャクラ』で、『淡い青色』で自己表現をする【声】のチャクラだ。


 第六チャクラは『サードアイチャクラ』で、『濃い青色』で知恵や第六感を司(つかさど)る【知】のチャクラだ。


 第七チャクラは『クラウンチャクラ』で、『紫色』で精神や魂の力を象徴している【魂】のチャクラだ。


 この一から七まで、空海、思い出したか?」




 ……………………は?


 意 味 わ か ら ん デ ス 。



 あ〜、第一チャクラが、『尾骨びこつ』だろ? 肛門こうもんとかな。

 身体のチャクラは、第一チャクラだ。


 私がた〜まに使うのが、『第一チャクラ』だ。さっきまで、祖父の後を、超特急で風を切って追いかけていた。それは『第一チャクラ』だ。


 簡単に言うと、身体能力向上のブーストが出来るチャクラは、【第一チャクラ】だ。

 あ、因みに、ブーストとは増幅装置だ。




 で、だ。





 第二チャクラは、『下っ腹』だったな。生殖能力や創造性とか。

 え? 下っ腹って具体的にどこって?

 『丹田たんでん』という、へそより下の場所だ。


 女子おなごでいうと、下丹田は子宮の位置だ。男児だんじだと、深層筋肉というところだ。


 第二チャクラは、【気】のチャクラで、私個人の意見として、どのチャクラを鍛えるか迷ったら、第二チャクラが良いと思う。


 勝手な解釈かいしゃくだが、第二チャクラは、社会との関わりや、集団の中で生きる術を与えるらしい。



 やっと、個々が認められる時代になってきた。それでも、人と人の繋がりは必要だ。


 辛辣しんらつな日々が続くこともあれば、ほんのたまに慈悲じひなことがある。楽しいなあって、心から喜べることがあって、涙が零れる時もある。




 人は独りで生まれて、独りで死んでいく。



 だけど、その間に、数え切れない程のたくさんの人と、社会と関わっていく。【気】を鍛えていたら、どんなに苦しくても、自殺はしないと思うから。

 蜘蛛くもの糸を必死に見付ける努力をして、その先に、光を感じてくれると思うから。



 泣いていいし、休んでいいし、逃げていい。だけど、生きることを諦めないでほしい。


 私は神木空海は、中学一年生の頃、虐められて辛かった。しかし、私は小学生の頃から、【気】を学んでいたから、自殺を決行しようとは思わなかった。


 出来なくてもいい。『知っている』その事実だけで、私の中に希望が浮かび上がる。

 余談だが、【読書】は良い! いつか何処どこかで、役に立つ。


 もう一回言う。【読書】は素晴らしい! 何でも良いから、興味のあることから、【読書】に触れてほしい! 世界が虹色になる!




 私は私が変われば、世界が変わると知っている。安心してくれ。


 ♪言いたいことも、言えない、こんな世の中じゃ、ポイズン。♪



 時代は変わりつつある。


 言いたいことを、言える、手段が増えた世の中だ、ラッキー!



 と、私は思っている。



 そうか! もうみんな知っているな!


 蛇足だそくだったな。今更すまん。




空海そみ、五秒待ったぞ。師を待たせるとは、いい度胸だ。第七チャクラは『クラウンチャクラ』で、【たましい】のり方だ。第七チャクラを使えば、壁を抜けれるわい。おらぁ、先に行くぞ。自力で、第七チャクラまで開いてこい。猶予ゆうよはないぞ。わかったな、空海」



 祖父は私の返事を聞かずに、壁を擦り抜けて行った。私は間髪入かんぱついれずに、祖父の背中に手を伸ばした!


 しかし。私の手は細く険しいトンネルの壁に打つかる。




 私は、壁を通り抜けることが出来ない。


 どうする?


 ここで諦めるか?



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