第10話
「夕刊の配達が間に合わん。また最短ルートで行くか」
鶏肉を冷蔵庫と冷凍庫に入れないとならない。勿論、下処理も込みでだ。下処理に三十分かかる。家まで一分で帰らなくてはならない。
最も危険なルートだ。何故なら、電線の上を疾走しないといけないからだ。電線は取り扱いに気を付ければ大丈夫だ。しかし、空を見上げた人に見つかりやすいのだ。警察に通報されなきゃいいが。
とはいえ。小学生の頃に、電線の上を歩いてたら、うっかり五回ほど
まあ。大雨の時はなるべく、電線を使いたくないな。晴れたから助かった。まだ濡れてるから、滑ったり感電するけどな。
まあ、死にゃしないだろう。私は強運の持ち主だからな!
「ありゃ? なんか、林檎っぽいやつがいるなぁ?」
私は目が凄く良い。林檎がいるのは
まだ
私の個人の感想として、無機質な空間で息が詰まりそうだ。もっと木を生やしたり、花を埋めたら良さそうだ。自然は偉大なのだ。
「なんか、心配だな。ちょっと行くか?」
五キロくらい離れた場所に林檎らしい人物が見えた。
身長が百四十センチほどの林檎。白く細い
神話や童話に出てきそうな、ツーハンドソードか、ツヴァイハンダーという、西洋の大剣だ。重量がかなりあるはずだ。
「林檎!!?」
私は無我夢中で駆けていた。
――――何故なら、林檎の前に紫色の大きな狼が現れたからだ。
なんだあいつ! フェンリルか!?
私は神経を研ぎ澄ます。武器になるものは、傘だけか!? 何故、怪物がこんな街中に出てきた!?
「林檎!! 無事か!?」
空から急に降ってきた私の登場に、林檎の不機嫌オーラは全開になる。林檎から無言で
恐あああああ!!! はちゃめちゃ恐い林檎さんの眼光で、私は今すぐに死にそうです!
「『マルコシアス』。グリフォンの翼に蛇の尻尾がある、火を扱う狼の悪魔だよ。君は今すぐに逃げて。――――邪魔だから!」
林檎は台詞を言い終えぬうちに、動き出す!
林檎は腰を低くし、両手の手首のスナップを
マルコシアスは口から青い炎を吐く! 林檎は地面を
林檎は竜巻に飲まれ、空高く吹き飛ぶ! 風の渦を利用した林檎は、スクリューを
マルコシアスは鼻で笑いながら、動く! 林檎は自分の身体ごと回転させる! 遠心力を利用して、林檎は槍のようにして、剣をマルコシアスの前足に突き刺す!
『ぐばばばああああ!!!』
これにはマルコシアスも
――――これはやばい! 住宅が全壊する!
つうか! 林檎のやつ得物ないじゃん!!!
私は今にも
「――――バカ! 死ぬ気!?」
林檎からの
私は一瞬の隙に、深呼吸して、大剣を引き抜く! マルコシアスが余りの痛みに大暴れする! 私は大剣を掴んで、後に大きく
マルコシアスのターゲットが刹那に、私へと変わる!
――――無数の青い炎の球が、全て私へと降り注ぐ!
じゅどおおおおおおおおおおおおんんんん!!!
「あーっぶねえ。死ぬかと思ったぜ」
私は死んでない。亡霊でもない。
まあ、普通の人間じゃ到底無理な、
私は林檎の剣を使い、五十個くらいある青い炎を、野球に見立てて撃った。
自慢の動体視力と荒業を
マルコシアスに全弾が
*
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。