第45話
どれくらい時間が
夜の空は晴れているが星を探す暇はない。私と林檎はなんの前触れもなく出現した悪魔たちと戦っていた。
二駅先は大都会だがこの場所はかなり田舎だ。けっこう広い公園の中で無関係な人が巻き添えを食らう心配はない。
戦場としては最適だった。公園のベンチや噴水は壊れるかもしれないが、人の命に比べたら断然マシだ。
私と林檎は別々の悪魔と戦っている!
林檎はセーレという美男子の悪魔と、私はフォルネウスという
『ソナタは強いらしい。先程ソナタが刺した
私の少し前で不敵に
ボクシングか。ここはリングなのか。
そうか。それはいい考えだ。
額に三つの眼。
それなら狭いリングを創ってしまえばいい。零から私の都合の良い戦場を創造するにはチャクラをけっこう消耗してしまうが、足場の悪い環境で長期戦になって困るのは私だろう。
不利な状態で時間を食って戦うなど
私は第八チャクラと第九チャクラを混ぜ合わせる。直径四メートルの四角いリングをイメージする。
私は突っ立ったまま胸の前で三角をかたどる。自分の両手で逆三角を作る。現実世界の一部に無理やり異空間のパズルを組み立てる。
時間がかかる。その間鮫男は
殺し合いを愉しむためか?
悪魔として絶対的な勝利を確信しているのか?
どんな理由でも有り難い。しかしその余裕が鮫男の弱点だ。強者は自分の力を過信する。弱者はその隙を必死で探す。弱者に次は無い。
強者と弱者の違い。
それは覚悟だ。
私は私にしか見えないリングを創り上げた!
私にはリングのよく
私の前方には強度に特化したバリアを張る。私の後方はよく
リングといえばプロレスだろう。
私が使うのはただのプロレスじゃない。
ルチャリブレという曲芸とプロレスを
この戦場を
ここで必ずフォルネウスを滅ぼさなくてはまた新たな悪魔が呼び出されてしまう。
実際、セーレとフォルネウスのどちらに異次元移動の能力があるのかわからない。最悪どちらも、いつでも他の悪魔を出現させることができるかもしれない。
私は気を引き締める。私が攻撃を放つより先にフォルネウスが口を開く。
『
ソロモン王を導くモノとして『
「都合が悪くなったら殺すんだろう?」
『ソナタは知っているのか? 今の天界は『七大天使』が百年の休暇を取っているのだ。だから今の天界は『ロキ』が
『セカイの
一部のものは『パンドラの箱』だと認識している。地球や宇宙が壊れるのではなく『生き物だけ』が滅びる可能性がある。人間界と他の世界は『
「どうしてそれを私に教えるんだ? 協力しないと言っただろう」
『なあに、ソナタを消してしまうのが
「そんなに期待されてもな。私たちは人だよ。ただ必死に
私は自分に言い聞かせるように鮫男の悪魔のフォルネウスへと言葉を投げた。
*
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