第3話
そして水曜日の夕方。授業が終わり私が帰ろうとするとハプニングが起こった。
「神木くん! 今日、一緒に帰ろう!」
まだクラスメイトがたくさん残る教室。林檎という女子生徒が大声で言い放つ。
林檎は一番前の席で窓際だ。林檎は
林檎の席は私の席から
私は大急ぎで教室から飛び出す。全力疾走で校門を抜ける。身体に
中学校から家まで走れば五分弱だ。田舎だから信号機もあまりない。自慢じゃないが、私は走るのが得意で体力にも自信がある。学力テストで学年で十番以内に入れる程にそこそこ頭もいい。
顔か? 容姿はそこそこ。
毎日生活のために朝夕の新聞配達や畑仕事、家事全般を
限られた時間の中で学校や勉強もあるので、効率良く日々を過ごしている。学校じゃない日は祖父と毎食後に
「みぃーつけたぁ♡」
私が自分の家の敷地に入ろうとした際に、横合いから聞こえた声。私はネジの緩んだブリキの
そこには仁王立ちをしている花村林檎の姿があった。
恐ああああ!!!
林檎って実は
「やだぁ♡ 神木くん、顔が真っ青だよ♡」
やばいやばい。こいつは関わっちゃいけない人種だ。危険を
がっちりと林檎という悪魔と目が合ってしまった。林檎がメデューサじゃなくて良かった。
いや本当は
いかんいかん。現実逃避する前に現実の今、早急に逃げなくては。
うん、無かったことにしよう。私は何も聞いてない。何も見てない。私は簡素な造りの我が家の門を
ばきばきめきめき……と
まさか、林檎という怪物に破壊されたのか!?
私は滝のような汗を流しながら自分の家の玄関を目指し走った。真っ直ぐ前だけを見て逃げたはずだった。
私の左肩の腕に落雷が落ちた! 私の左肩の腕の骨がピキッと悲鳴を上げた!
「神木く〜ん♡ さすがにぃ〜♡ 怒っちゃうぞぉ〜♡」
「い、だだだだだだぁあああ」
「やだぁ♡ そんな
「いやあああ! 骨! 骨折れてるううう!!!」
「大丈夫だお♡ 綺麗に折ったから、すぐに完治するお♡ 安心するお♡」
「やめて下さいいいいい!!!」
「じゃああ♡ もぉお♡ 逃げないかなあ?♡」
「逃げませんんん! ごめんなさいいいい!!!」
恐あああああああああああ!!!
林檎は掴んでいた私の腕を投げるように離した。私はそのまま転がるように地面に突っ伏す。そこでまた左肩の腕に激痛が走り、ぎゃんんんと泣き喚く。
泣きながら魔王の林檎を見上げた。私は硬い地面に倒れ込んだままで、現状を把握しようと必死に考えた。
解放された私の左腕は、
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