第48話
『女あ! 我と勝負しろ。今ここで小僧を殺されたくないだろ?』
林檎を魔界に連行するつもりらしいが無傷ではなさそうだ。
林檎を
全体的に銀色で赤い目が六つついている。額に三つの眼。
フォルネウスの威圧感に私はたじたじだ。
おい! なにか言えよっっっっ!!!
フォルネウスの殺気に
なにか言い返したい!
何か
林檎の
いや林檎は私を試しているのかもしれない。
こんなところで泣いて逃げる親友なんていらないのだ。林檎の求める相棒はもっと強いやつだ。
このままフォルネウスに相手にされないままでは空界に同行をさせてもらえない。
私がフォルネウスと戦うのだ!!!
私の覚悟を林檎に伝えるのだ。
「フォルネウスさん、私とボクシングだけで勝負しませんか?」
『我に何の
鮫男の悪魔のフォルネウスは
雰囲気的にゴミを見るような眼差しを向けられる。
「ボクシングだけで正々堂々と戦って私が負ければ、セーレさんの首は返します。フォルネウスさんはボクシングが得意なんですよね?」
『セーレの首は今から力尽くで貰うまでだ。女もそのまま魔界に連れて帰る。小僧は用無しだ』
「へえ! ボクシングだけだったら、虫の息であるか弱い人間に偉大な悪魔のフォルネウスさんは負けてしまうんですね! 私の不戦勝ですねえ! 私の師匠に悪魔なんて大したことありませんでしたっって伝えますねえ? いいですか?」
私は
よ、よし。あとひと押し。
私は下手な演技で
いやフォルネウスに鼻は見当たらないが、鼻の位置にある縦長な赤い目をニ、
「私は絶対に強くなります。今ここで悪魔のフォルネウスさんの
『
「でしたら、ボクシングだけで私に勝利して下さいよ。ちゃんと人サイズになって下さいね。偉大な悪魔のフォルネウスさんは
『ひひひひひ。早死にしたいようだな。いいだろう。我は悪魔だからなあ、
フォルネウスは狂気的な
恐怖に
私はこんなところで死ねない!
まだまだ! やりたいことが山程あるんだ!!! 死んでたまるかっっっっ!!!
恐れと痛みで意識が
「神木くん、体重は何キロ?」
「私はだいたい六十だ」
「百三十ポンド? スーパーフェザー級?」
「ん? そうだな……今は腹が凹んでいるからフェザー級だろうが。グローブも無いし、レフェリーもいない。どうするか……」
ちょっと待て。自分で言い出したがボクシングするための条件とかどうするんだ。
私はちらっと鮫男のフォルネウスを
ボクシングの階級でいうとヘビー級だ。こればっかりは仕方ないか。
「僕、ボクシングのルールわかる。僕が公平にレフェリーをしようか? リングも創ろうか?」
林檎は大木の
水の
えーと……セーレの生首をそのままほっといて大丈夫なんですか!?
なんか林檎さんに言いたいことがいっぱいあった。久しぶりに
いやいや。今はフォルネウスに集中しなければ。うっかり林檎さんが近寄ってきたから胸がどきどきしている。
『おいおい。グローブどうするんだ? 小僧は自分でグローブを作れないのか? ボクシングじゃなくて殺し合いでいいのかあ? 早くしろ』
*
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