第15話
私は
いや、流石に仙豆は所持してない。私は林檎を放置して、キッチンまで
まだまだ。
まだまだ、復活出来ない。牛丼食べたい。
私は
自分がなにに、泣いているのか。
自分が何に怒り、何に悲しみ、何に胸を痛めているのか、読み取る。
自分の気持ちの整理をしよう。
私は、私の感情を無視して、自分の言いたいことを言う、林檎に怒っている。
私は、私の感情を優先して、林檎に優しく出来ない自分が情けない。
私は林檎が好きだ。しかし、林檎は私を見ていない。林檎の心の中には海がいる。
私は林檎と相思相愛になれなくて、苦しい。林檎への気持ちが
わかった。私は自分の感情に気付いた。
もう大丈夫だ。自分をすべて許そう。
それも自分。それも私。
私は私だ。感情が歪んでも、私は私だ。
私は梅干しを
「林檎、すまない。私は冷静になった。すまん、もう一度、一から話してくれないか?」
「わかった。僕もごめん。神木くんに頼り過ぎた。困ったら言って? 僕は神木くんと、支え合って生きたい。よろしく」
私は戦意喪失していたが、復活した!
梅干しパワー凄えええ!
私はスーパーマンだ! よし、よし!
迷走するのはおしまいだ。気合い入れろ!
私は居間に戻って座る。丸いテーブルの上の湯のみに、緑茶を注ぐ。緑茶の温かさ、緑茶の香り。リラックス効果抜群だ。
林檎に動作で、緑茶を勧める。私は右手の指先を揃えて、林檎に腰かけるように促す。
「今すぐに、林檎が解決したいことはなんだ?」
「僕の依頼は、『マルコシアスの
マルコシアスを『時の砂時計』という『水の
「ミキって、
「そう。もしかして、神木くんの家族?」
「ああ。『
「直接、空界の女神ミキに聞けばいい。だから、神木くんは、僕とマルコシアスの捕獲作戦を決行すればいい」
「そーなりますか。それってさ、私も『空界に行って、試練受けて、パスポートをゲット』で合ってる?」
私はハードボイルドを気取って、スマートに情報を処理する。いきなり硬派なのも、どうかと思って、茶目っ気を出してみる。右手の親指を立てて、ウィンクをする。
「あは♡ 神木くんって……オモシロイね?♡」
「そっっ! そこでは! 恐い微笑みぢゃないだろおおお!」
「あは♡ だって、神木くんが調子に乗ってて、イラッ♡ ってしたから♡」
「何言ってんの!? 私はいつも全力で調子に乗ってますけど!!! つーか! 林檎さん! いつも君はそこんとこ、スルーするだろうが! なんで今だけ、冷たいツッコミするんですか!?」
「神木くんはイカさないでいいの。ヘタレのまま、ちょっとおバカなままでいい。だって、格好良くしたら、他の子が、神木くんを好きになっちゃう。神木くんがスケコマシになったら、僕……瞬殺しちゃう♡ わかった?♡」
林檎さんは可愛い声を紡いで、可愛い笑顔を浮かべていた。
林檎さんは静かに右手の拳に力を入れる。そして、林檎さんの右手の親指は、下を指していた。
右手の親指が上を向く。右手の親指は立てたまま。緩慢な動きで、林檎さんは自分の首を一線する。
つまり、私が他の子と、仲良くすると、瞬殺されるってことですね。
私は私の首から上が木っ端微塵になる映像が脳裏に過ぎった。
「心配しなくても、私は……」
いかん! 危うく告るとこだった!
いや、林檎に好きと伝えていいのか?
「問題がある。空界に一度行ったら、暫くは人間界に帰れない。神木くん、一年は最低かかると思う。
「え? 今すぐじゃないよな?」
「今すぐ、だよ? マルコシアスを魔界から誘い出して、水の
「一年って言っただろ?」
「最低一年はかかる。どれほど困難な試練か、わからない。ミキの話では、五年かかっても、空界と人間界への行き来ができるパスポートを入手できないモノもいるって。空界の試練で、命果てるモノは多いって。神木くん、死ぬかもしれない。本当に、僕と一緒に、空界に行く?」
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