概要
なぜそう感じたのかは解らない。只漠然と、惻隠の情があるように思えた。
『草花静寂にして、銀杏を揺らした風は止んでいた。けれどもそこに、先程までの暖かい陽光はない。枝に佇む鳥たちは知っているのだ、虚ろな秋空を。風凪の、暫し異様な静けさは、いずれ嵐となる前触れなのだということを……故に、じっと留まるのだ』
静岡県JR三島駅前のビル屋上で女性の絞殺死体が発見された。直ちに三島署に捜査本部が組織され、本部長に若き県警の警部 新見啓一郎が任命された。
被害者は、何故殺されたのか……最期に残された彼女の日記から死の真相が明らかになって行く。そこには、惻隠の情が読みとれた。
「警察官の正義とは何か、それは被害者の無念を晴らすことだ」
新見の脳内を、自身の言葉が駆け巡る……
『真由理』との静かな対話の中で、新見啓一郎の推理が始まった。
新見啓一郎を中心に、登場人物それぞ
静岡県JR三島駅前のビル屋上で女性の絞殺死体が発見された。直ちに三島署に捜査本部が組織され、本部長に若き県警の警部 新見啓一郎が任命された。
被害者は、何故殺されたのか……最期に残された彼女の日記から死の真相が明らかになって行く。そこには、惻隠の情が読みとれた。
「警察官の正義とは何か、それは被害者の無念を晴らすことだ」
新見の脳内を、自身の言葉が駆け巡る……
『真由理』との静かな対話の中で、新見啓一郎の推理が始まった。
新見啓一郎を中心に、登場人物それぞ
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- ★★★ Excellent!!!不幸な女が死んだ…その先に見えてくる闇の深さ
気鋭のジャズピアニストのコンサートが開かれた夜、貧しく身寄りのない中年女性の絞殺死体が発見されるところから物語の幕があがります。
主人公の刑事・新見啓一郎が被害者の過去を探る中で、見えてくる悲惨な境遇。特に宗教団体の抱える闇に巻き込まれたことが今回の事件のカギとなってくる……旧統一教会の問題が社会を揺さぶる中、読む側も真相を探りたくなっていくジャーナルで巧みなストーリーテーリングがされていると思いました。
巧みなと言えば、捜査が迷走しそうになった時、新見のかつての恋人がアドバイザー的役割を担って登場してくるのはうまい展開だと思いました。同時に、新見が抱える心の傷、哀切も伝わってきて、感…続きを読む