江戸時代の浮世絵師・鳥山石燕による『画図百鬼夜行』に登場する妖怪たち。本作はこの妖怪と関わってしまった人たちの経験談を一話完結でまとめた短編集となっている。
しかし石燕の時代とは違い、現在は令和。妖怪という存在も半ばキャラクター化されており、デフォルメされることも多く大して怖くないんじゃ……?と思わせといて、しっかり怖いから性質が悪い。
各話ごとに語り手は変わり、老若男女、世代も立場もバラバラな人たちが自身が体験した怪奇現象を語っていくが、語り手を精神的に追い詰めていくものから、物理的にダメージを与えてくるもの、時には結果的に人間を助けてくれるものもいたりして、読み終わるまで、どういった種類の怖さが襲ってくるのか想像がつかないのが大きな特徴。ちょっとほっこりする話の次にとんでもなく怖い話が来たかと思ったら、その逆のパターンも平気であったりして、一話ごとに内容の予想が全くつかないのだ。
各話文末には作者による本来の妖怪に対する解説が記されているため、話の元ネタとなる妖怪をよく知らなくても、作者が妖怪たちをどのようにして現代の怪異譚にブラッシュアップしていったのかがわかるのも嬉しい。
きちんと元ネタの要素を尊重しながらも、既存の視点とは違った解釈を加えて、妖怪たちに新しい光を当ててくれていて、妖怪好きの方や短編ホラーが好きな人は必見の作品だ。
(「令和の都市伝説」4選/文=柿崎憲)