第15話 英雄召喚(ガチャ)
「さて、では英雄のクラス説明も終わったところで召喚に移ろう。英雄の召喚にはこのガチャ石・・・」
モリアーティ教授は虹色に光る不思議な鉱石をテーブル上に置いた。それはコンビニで買うと9800円くらいしそうな高価な鉱石だった。
「・・・いや超高純度魔力結晶を用いて行う」
「今ガチャ石って言ったよね?言ったよね!!?」
「言っていない」
「でもなんか値札とかついているんですけどっ!!?!」
「この魔力結晶には五回分の召喚が行えるほどの高いエネルギーが込められているのだ。さらに」
「おい話聞けよ!!」
「魔力結晶以外に媒体を用意する」
「媒体だぁ?」
「その昔、蛇の化石を用意し、古代の王を召喚した魔術師がいた。その魔術師は幼い娘を残して自らが呼び出した英雄によってアゾットされた」
「アゾットって何っ?!!」
「アゾットは重要ではない。その英雄の死因、あるいは所縁の品があれば望みの英雄を召喚できる確率が上がるという事だ。弥一君。君はフィン・マックールという英雄を知っているかね?」
「いいや。そんな奴は知らん」
しかし、オムツライオンは現れなかった。
「ケルトの大英雄で、文武に優れる。彼は精霊の住む川の畔で鮭(シャケ)、即ちサーモンを釣り上げ、それを食したことで叡智を手にしたとされる」
「そうか!じゃあ鮭があればフィン・マックールが召喚できるんだな!!」
「その通り。そこで用意したのが」
「お待たせしました」
スティーブンソンが川魚を持ってきた。
「築地場外市場で購入した鮎(アユ)になります」
「うぉおおおおおいいい!!!!」
「ほう?これは美味しそうだ」
「いや暇必要なのは鮭でしょ鮭!サーモンだよ!!鮎じゃないでしょおおお!!!」
「まぁ買って来てしまったのはしょうがない。鮎で召喚の儀式を行おう」
シュバアアーーーーーー
魔法陣が光った。閃光がおさまるとそこには弓を携えた一人の侍が。
「某、喜連川国朝。クラスはアーチャーでござる」
「全然知らない侍出たーーー!!!!」
「まずは成功だな」
「いやこれどうみても外れだよね失敗だよねスカだよね!!??」
「外れと決めつけるのはまだ早い。頭の悪いなろう主人公のようにステータスチェックという奴をやるのだ。さぁ早く」
「くっ、ステータスチェックだ!」
本名 喜連川国朝
属性 中立・中庸
クラス アーチャー
時代 戦国時代末期
地域 日本
筋力 D+
耐久 E-
敏捷 D-
魔力 B
幸運 E-
奥義 早乙女鮎壱尾刺
「おい・・・なんだこのゴミみたいなステータスは?耐久と幸運に至っては俺以下だぞおいっ!!」
「いやいやちゃんと必殺技もあるじゃないか」
「あ、ほんとだ。おい喜連川。この乙女ゲー悪役なんとかってどんな技なんだよ?」
「はい。かつて我が喜連川領に宇都宮軍が大挙して押し寄せて参った際、敵将宇都宮尚綱を弓矢の一撃で見事討ち取り、国を守ったという故事を奥義にしたものでございます。その決戦の場が早乙女坂でございまして」
「へぇーどんな凄い技なんだろ?」
「では不肖私が相手を務めよう。戦闘シュミレータを起動するぞ」
モリアーティ教授はタブレット端末を操作した。戦闘シュミレーションが開始される。たちまち戦国時代の田園地帯をイメージした仮想空間が構築された。模擬戦闘開始だ。
「早乙女鮎壱尾刺!」
放たれる必殺の弓の一撃。狙い違わず直撃を受け、哀れジェームズ・モリアーティは爆発四散!!!
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!
チュイイイイン。
「中々の威力だよ喜連川君。レベル1の状態でまさか二万近いダメージを出すとはな。だが残念だったな」
爆炎が静まると、ジェームズ・モリアーティは何事もなかったかのように立ち上がる。
ピュリリリン
HP回復500
「絶海の孤島。雪山の山荘。閉じ込められた人達が一人。また一人と殺害されて行き、全員が殺されていく。では犯人は?幽霊?宇宙人?違うんだなこれは。既に『殺害された』者の中に犯人がいればいい。『死亡偽装』のスキルを使わせてもらった。死んだ際にHPが微量回復するスキルさ。実にモリアーティらしいだろう?」
モリアーティ教授は反撃しようとしたが、その必要はなかった。
「今一度、あの川に・・・」
シュイイイイイン・・・・・
奥義を撃った瞬間、何故か喜連川のHPは0になって消滅する。
「おい!なんかあの弱っちそうな侍必殺技を撃っただけで死んだぞっ!!」
「どうやら敵単体に大ダメージ(オーバーチャージで効果アップ)+(デメリット)自身に即死状態を付与という奥義のようだな。使用の際には十分留意したまえ」
「使い道ねぇだろコイツ!!!」
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