史実解説 津田三蔵
「おい。こんなネトウヨ激怒のキャラを出していいのかよ?」
「いいのよ弥一。最近はラノベもアニメも中国市場も見据えて製作されるのよ?南京で中国人を50万人切り殺した日本兵が異世界転生して日本刀を持って異世界大虐殺をする話よりもこういうわかりやすい悪役日本人キャラを登場させて主人公が倒す話の方が企画が通りやすいのよ!!」
「おいおい。日本兵が第二次大戦終了後も中国大陸に残って武器を持たない女子供ばかり5000万人殺害するなろう小説があってそのアニメ化企画があってその放送一ヶ月前に中国側から猛抗議があったから大慌てで放送を中止する事になってアニメ制作会社に大損害を与えるなんて事、現実にあるわけないだろ?」
「じゃあ現実の、史実の人物の話をするわね。津田三蔵は明治時代の人間で、西南戦争の時には伍長として官軍に参加した立派な軍人だった(過去形)。復員後は結婚し、子供をもうける。警官として立派に勤務をしていたわ(過去形)。」
「真面目な人だったんだな(過去形)」
「そして明治24年(1891年)、ロシアのニコライ皇太子が日本を訪問するの。ニコライ皇子は大変な親日家で遊郭を訪れたり、腕に入れ墨をしてみたり、大変な日本マニアだったのよ。そして皇子はいよいよ念願の京都に向かうのだけれど」
「けれど?」
「街道警備にあたっていた巡査の一人が突如として皇太子に切りかかる。この男こそが津田三蔵よ」
「何気にこういうWEB小説で津田三蔵が出てくるのって初めてじゃね?」
「初めてかどうかはともかく珍しいのは確かね。この事件で皇子は重傷を負い、事態を重く見た日本政府は、
『明治天皇が直接ロシア皇太子に面会し、謝罪を行う』
事にしたの」
「へっ?」
「最上級の外交カードね。恐らくは天皇による土下座外交ってのは後にも先にもこれ一回のハズよ。最も話し合いに来ていたロシアの皇子様を切りつけたんだからこの事件で急激に両国の関係は悪化。日露戦争に繋がるわ。最終的に津田の目論見通りに戦争は起きてしまう」
「じゃあこいつがいなければ日露戦争は起きなかった可能性もあるんだな?」
「そういう風になっていたかもしれないわね。日露戦争での日本の勝利がなければその後の中国大陸進出、朝鮮半島の植民地化、そしてアメリカとの戦争による敗北もないから、この男の存在が。文字通り凶刃が日本の運命を狂わせた可能性もあるわよ」
*
外見情報:
大津事件の犯人。
真っ黒な制服を着た、明治時代の警察官。腰には西洋刀ではなく日本刀を差している。温厚そうな表情を浮かべているがその笑いは狂人のそれであり、目の前に外国人、特にロシア人がいれば容赦なく切りかかる。
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