史実紹介 なぜ史実紹介が必要なのか

「それじゃあ弥一。ジェームズ・モリアーティについて史実解説をするわ」


「何を言っているんだ眼鏡女の分際で。モリアーティと言えばモリアーティに決まっているじゃないか。今更説明の必要なんてないだろ」


「それはどうかしら?あれを見てごらんなさい」


 オムツを履いたライオンが出てきた。


オムツライオン「やぁ!ボクの名前はモリアーティ!異世界に住む愛らしいモンスターだよ!!」


「なんだこいつは・・・」


「わかってないわね弥一。今のラノベ、WEB小説、ケツを拭く紙にもなりはしないなろう小説が量産される時代、こう言う事が数多く発生するのよ」



「はぁ、異世界。異世界・・・・」


シコシコ・・・・


「異世界・・・」


シコシコ・・・


「なにあいつ?」


「本当は日常系ほのぼのマンガを書きたいのに異世界転生マンガを執筆を依頼された漫画家さんよっ!!」


 ツルウルルッルウルル!ツルルルルルルル・・・


「あ、電話がかかってきたな」


「はい。もしもし?」


『あ、異世界転生マンガをシコシコ書いてる売れないマンガ家さんですか?私、スマフォ向けRPGを造っているブリリアントワークスという会社の者なんですが?』


「ブリリアントワークス?そんな人が異世界マンガをシコシコ描くしか能のない私に何の御用ですか?」


『貴方にお仕事の依頼です。ジェームズ・モリアーティというキャラを実装する事になりまして。そのキャラを書いてほしいんですよ。仕事の依頼料は、そうですね。カット四枚で・・・百万円でいかがです?』


「カット4枚描くだけで百万!やります!やらせていただきます!!」


『じゃ、宜しくおねがいたしますー』


 ガチャ。


「あれ?でもジェームズ・モリアーティってどんな『異世界のモンスター』なんだ?うううぅ、わからない。わかないいいいいいいいい・・・・」


「おい、あの漫画家一体何を悩んでいるんだ?」


「まだわからないの弥一?あの漫画家さんは頭の悪い偏差値レベルマイナス300の住人しか住んでいない異世界マンガを描き続けたせいで現実世界の一般常識すら失ってしまった、可愛そうな人なのよ!!」


「ジェームズ・モリアーティ!!きっとこんな恐ろしい怪物に違いない!!」


オムツライオン「やぁ、ボクの名前はモリアーティ!!」


「さぁ!これでようやく弥一にも史実解説の重要性が理解できたでしょう?たとえ誰もが知っているであろう歴史上の人物であったとしてもきちんと史実解説をしておかないと小説の挿絵を描く人が、コミカライズ担当者が、アニメ制作スタッフが、『ジェームズ・モリアーティ』というのを想像できなくてオムツライオンを描いてしまうのよ!!ところで弥一。貴方モリアーティと聞いてどんな人物を思い浮かべるのかしら?」


「イギリス人。年齢は五十歳くらい。身長は高め。年齢の割には背筋はしっかりと伸びている。白髪の白人男性。犯罪結社の黒幕。ステッキ、パイプなどを所持。紳士服などを綺麗に着こなす英国紳士だが、銃器の扱いに慣れている。こんな感じか?」


「何てこと!弥一!読者の分身である貴方はジェームズ・モリアーティをしっかりとイメージできるのね!!オムツライオンを描いてしまう異世界漫画家よりも遥かに優れているわ!!さすやいち!!」


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