1.関が原の戦乙女

第14話 クラス解説

「さて、改めて英雄のクラスについて説明しよう」


 食堂車に戻って来た弥一にモリアーティ教授は授業を再開する。


「車掌、教授と弥一に何か飲み物を」


「畏まりました」


 徐福が気を利かせて飲み物を注文した。


「アマテラス様は何になさいますか?」


「コーラ」


「畏まりました」


 スティーブンソンもまた、気づかいを忘れない。


「まずナイト。世界には刀剣信仰と言って武器としての性能は二の次で剣で戦う英雄を尊ぶ事がある。西洋の騎士、日本のサムライ、南アメリカの未開民族にもまたソードに似た武器を使う種族が居たという」


「まぁ剣系の武器使う連中全部が入るってことですね」


「次にウォリアー。槍、斧など、別に剣と劣る性能ではないにも関わらずあまり人気のない近接武器を扱う英雄」


「不人気ってことですか」


「近接と来れば遠距離だ。アーチャー。と言っても弓を使うとは限らない。近代以降の英雄は弓以外の武器、銃が飛び道具だからな。私の時代以降の英雄がいればピストルやライフル銃でもアーチャーになるだろう」


「ガンナーでもいい気がするな」


「ライダー。説明した通り乗り物に乗って戦う」


「モリアーティがライダーなのは納得できねえ・・・・」


「キャスター。魔術師だ。武器を使わず魔法で名声を勝ち取った連中というのは英雄譚一つにつき一人は出てくるな」


「確かあの徐福って奴もキャスターなんだよな。名前からして日本か中国っぽいけど」


「アサシン。暗殺者だ。主に短剣を武器に使ってくる。日本の忍者もこれに含まれる。だが油断するな。仮に君がオズワルドと相対する事になれば、彼はライフル銃を武器に使ってくるだろう」


「誰?」


「ケネディ大統領の暗殺犯だ。そして最後バーサーカーだが」


「どんなクラスなんだ?」


「お待たせしました。弥一様にはコーヒー。オーナーには紅茶をお持ちしました。砂糖とミルクはポッドに別わけにしてありますのでご自由にどうぞ」


 スティーブンソンはモリアーティ教授と弥一に礼をする。お茶の他に白い皿に乗せたクッキー。チョコレート。キャンディーなどの茶菓子が載せられている。隣のテーブルでアイドルとシャンシャンするゲームを続ける天照のテーブルにもお菓子を置く。


「徐福様。蜂蜜れもんです。アマテラス様。こちらコーラになります。ごゆっくりどうぞ」


「ありがとう」


「アザトゥース」


「で、どんなクラスなんだよ?」


「バーサーカーっというのは」


「バーサーカーは言葉通じる素晴らしい英雄だ」


「はっ?」


「そうだな。理知的で紳士的で謙虚な素晴らしい英雄だバーサーカーは」


 聞かれもいないのに徐福も言った。


「確かにバーサーカーが居れば例え目玉が潰され心臓をえぐり取られても何も怖くないね」


 コーラの炭酸を味わいつつ天照も言った。


「いや、だからなんだよ。その妙な例えは?」


「分かりやすくジョジョで例えると山岸由香子みたくおいしい手料理を造って食べさせてくれる英雄だ」


「そうね。パンナコッタ・フーゴのように優しく二ケタの掛け算を教えてくれる英雄よ」


「例えがジョジョかよジョジョ!!余計にわからねぇーよ!!!」


「弥一様」


 急に声をかけられた。


「あん?なんだよ車掌かよ。なんかよう?」


「砂糖と塩のポッドを間違えてお持ちしてしまったので交換に参りました」


「あ、そう」


「それと差し出がましい様ですか」


「何?」


「私としてはバーサーカーは非の打ち所のない素晴らしい英雄だと思います」


「ふーん。じゃ、それでいいや」


「御理解いけて光栄です」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る