幕間の物語 無料ガチャ

「弥一。実は召喚には魔力を秘めた召喚石を用いて行う」


「つまりガチャ石だろ」


「まぁガチャと言えば通常有料ガチャなんだけど、実はその他に無料ガチャというのがあるのよ」


「無料ガチャ?」


「有償ガチャはコンビニで魔法のカードを購入しなければガチャを引くことはできない。その代り、プリズムスコープのような装備や強力な☆5英雄を呼び出すことができるわ」


「強力な☆5英雄?」


「例えば彼女ね」


 眼鏡女は自分のスマフォを捜査し、デッキから英雄を呼び出した。

 現れたのは袖と裾の長いドレスを着て、帽子を被った金髪碧眼の少女だった。


「私、メアリー・アニング。クラスはウォリアーね!貴方、恐竜は好きかしら?」


「なんか幼女きたんですけどおおおおお!!!!!!!!」


「19世紀初頭産業革命期のイギリスで古生物学及び地質学の道を切り開いた女性ね。彼女が最初に恐竜の化石を発見したのは12歳の時。つまり召喚時には全盛期の『12歳の姿』で召喚されるのよ」


「ガチの幼女英雄やんけ!!!!!!!!くそ、ガチャが捗るなっ!!!!」


「でも今回の主旨は無償ガチャだから彼女の出番はないわ」


 眼鏡女はメアリーを自分のデッキに戻した。


「しかし、無料ガチャではメアリーちゃんはでないんだろう?」


「排出されるのは☆3以下の装備品と英雄のみね。装備品は銅の剣やヒノキの棒といった、気持ち程度に攻撃力や防御力が上がる物が出てくるわ。売値は10ゴールド、20ゴールドがほとんどね」


「おいおいそんなの役に立たないじゃないか」


「でも、☆3装備の礼拝堂や聖なるナイフも排出されるからがんばって。礼拝堂は奥義威力が30パーセント上昇。聖なるナイフは奥義ゲージ上昇率が15パーセントアップするわ」


「じゃあナイフとかは使えるんだな。でも、礼拝堂を装備するってどういうことなんだろう?」


「弥一。異世界転生したなろう主人公は平和に暮らす異世界暮らす人々を理不尽に侵略し、お姫様を足掴んでこん棒代わりに使って殺害するのよ?ならこっちも遠慮はいらないわ。草むらを装備しなさい。お城を装備しなさい。モーセが二つに割った海を装備しなさい。お姫様こん棒よりよっぽど攻撃力が高いに決まってるじゃない!!!」


「そうか!モーセの海で悪魔を殴れば大ダメージを与えられるはずだな!!わかった!!俺は英雄たちに海を装備させて戦う事にするぜ!!!」


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