第17話 英雄召喚(ガチャ)3

「お次の品をお持ちしました」


「また築地場外市場か?」


「はい」


 矢一の問い合わせにスティーブンソンは自然体で答える。


「当たり前じゃないかね弥一君。日本で魚市場と言えばツキジだ。他にどこがあるというのだね?」


「いやまぁそうですが」


 さて、弥一達の前に出された今回の召喚アイテムは。


「タイの天ぷら・・・っすか?」


「徳川家康はタイの天ぷらを食した後、食中毒を起こして死んだという。つまりこれが家康の死因だ。蛇の化石で古代の王様呼び出してアゾットされた魔術師がいるならば、タイの天ぷらを使えば間違いなく徳川家康が召喚できるはずだ」


「いや理屈としては間違ってねぇですが納得できねぇっす」


「では始めよう」


 シュバアアアアアアア


 現れたのは鎧に身を固め、刀を持った。

 腰まで艶やかな髪を伸ばした女だった。


「ふむ。弥一君。イエヤスというのは女性なのかね?」


「最近ローマ皇帝とかイギリスの王様とか女性が多いっすね!!」


本名  お六の方

属性  秩序・善 

クラス ライダー

時代  1596年~1625年

地域  日本

筋力  B

耐久  C

敏捷  A

魔力  C-

幸運  D-

奥義  持仏堂香炉


「ライダー、お六。家康様より言伝を以て参上いたしました。

『儂を呼ぼうとしたのであろうが、儂が豊臣を滅ぼした時は70過ぎの老いぼれ。そんなジジィを呼んだところでお前達の力にはなれん。よって側室の六を遣わす。十九の娘を矢面に立たせるなり世継ぎを産ませるなり好きに使うがよい』とのことです」


「えぇ・・・・」


「御心配には及びません!この六!夜伽の腕前はまだまだ未熟でありますが剣技や馬術には自信があります!!きっとお役に立てましょう!!」


「いや。なんか違くね?」


「私は家康様の妾!つまり娘のような者!!つまり私と子を為せば弥一様は徳川の一族です!!さぁ何を戸惑っておられるのです!!!さぁ今すぐ寝床に参りましょう!!!」


「いやそれめっちゃ戸惑うよっ!!!」


「ではまあとりあえず彼女の実力を見る事にしよう。戦闘シュミレーター起動ぅと」


 モリアーティ教授は戦闘シュミレーターを起動させた。


「さぁ。チェスは。おっと君達の国では将棋かね?将棋は君のフェイズだ。私に攻撃を仕掛けたま」


「持仏堂香炉!!!」


 余裕の表情を浮かべるモリアーティ教授に対し、お六の方は燃え盛る香炉を持ち上げるとそれを叩きつけた。


「う、ぐうう!!!?」


「もがいても無理です!!無理無理無理無理無理!!!!!」


 ドゴオオオオオオオオン!!!


 ぴゅりんんん

 HP500回復


「ふ、なかなかやるじゃあないか。然し私には死亡偽装のスキル」


 ぱちゅん

 燃焼ダメージ500


 小さな火花が起きて、ほんのちょっぴり。モリアーティに追加ダメージが入った。


「ぬおおおお!我が完全犯罪計画が・・・・っ!!!」


 シュイイインンン


 BATTLE CLOSE


 パッパパ パパパパー(ファンファーレ)


「六。側室としての役割を見事務めました。ちゃんと見てくださいましたか?」


「え、?いや。見てたけど今のなに?」


 めっさ戸惑う弥一。当然である。


「奥義持仏堂香炉ですか?六は29歳の時に家康様の冥福を祈る為香を焚いて焼香中誤って香炉を倒してしまい、その火災で死んでいるのです。それを奥義にしたもので具体的には敵単体に大ダメージ+燃焼効果付与、(オーバーチャージで効果アップ)です」


「自分の死因投げつけんなっ!!」


 パァァァ


 光と共にモリアーティ教授が復元される。


「見事だ。お六。そして弥一君」


「あ、復活しやがった」


「クエスト『はじめての戦闘で勝利しよう』が達成された。報酬を受け取りたまえ!!」


 モリアーティ教授は何かを大量に投げた。『ライダー』お六の方はそれを落下する前に空中でキャッチする。


「これは、この小判は!?」


「あ、江戸時代以前の人だからコインじゃなくて小判って認識なのね」


『ナイト!』


『ウォリアー!』


『アーチャー!』


『ライダー!』


『キャスター!』


『アサシン!』


『バーサーカー!』


「そのクラスコインはレベル上限を上げる為の進化素材。10枚セットを進呈だ」


「レベル上限?」


「英雄にはそれぞれレベル上限が存在する。だがクラスコインという進化アイテムWを使えば2段階までレベル上限が上昇するのだ。だが最終進化にはクラスメダルという別のアイテムが必要なので要注意だぞ」


「お、おう。有難う教授・・・」

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