第18話 英雄召喚(ガチャ)4 

「さて、次なるガチャ・・いや召喚だが」


 一度死んだ(?)事も気にせず召喚を続けるモリアーティ教授。


「いやもうガチャでいいよ」


「お待たせしました」


 スティーブンソンが持ってきたのは。一枚のカードだった。


「ナニコレ?」


「そろそろガチャ石が無くなるころだと思いまして、ゴーゴルプレイカードをお持ちしたのですが」


「ガチャ石って言ったよ!ごく当たり前のように真顔でガチャ石って言ったよコイツ!!」


「まぁ確かにあと一回の召喚分しかないからね。そこおいといて」


「承知しました」


 スティーブンソンは一礼して下がる。


「それじゃあ召喚を行うぞ」


 シュバアアアアアア


 出現したのはまたもや武士。だがかなりの高齢であり、そして鎧は着用していない。


「キャスター。柳沢吉保。貴様を用立ててやろう。感謝するがよい」


本名  柳沢吉保

属性  混沌・悪 

クラス キャスター

時代  1658年~1714年

地域  日本

筋力  E

耐久  E

敏捷  C

魔力  B-

幸運  A-

奥義  楽只堂奥座敷


「なんかめっさ悪そうなジイサン出てきちゃったんですけどっ!!」


「悪い?何を申すか。儂は老中。徳川幕府に仕え、綱吉公を補佐するこの儂が悪人なわけなかろう」


「なんと、柳沢殿は徳川家に仕える老中であらせられるか?」


「おや。その眼帯の武人は功名誉れ高き政宗公であらせられるか。この様な形でお会いできるとは。いやはや人の縁とは不思議なものよ」


「徳川将軍に仕える老中とはさぞや素晴らしい御方なのでしょうね!!」


「そこの鎧の御婦人は?」


「家康様の愛妾をしておりました六と申します」


「それはそれは。斯様な美形を拝謁賜るとはこの柳沢痛み入りまする」


「して柳沢は何をなさっていたのですか?」


「たいしたことはしておりませぬよ」


「柳沢よ」


「何用でございますかな綱吉様」


「私は神君家康公の墓参り。つまり日光東照宮に参拝しようと思う」


「はっ、良きお考えに存じます」


「しかし将軍が大名行列をなして移動するとなればその街道の警備費用や宿泊費などが膨大なものとなる。つまり幕府の金蔵が足りぬそうだ。どうしたらいいだろうか?」


「私めに良い考えがございます」


 柳沢は金で造られた小判と銅銭を用意した。


「この金の小判と銅の銭を混ぜるのでございます。そして改めて小判を造るのでござりまする。すると小判が増えまする」


「うむ。素晴らしいな。是非やってくれ」

「まぁ!小判がどんどん増えるのでございますか?」


「家康殿の墓参りができて、将軍もさぞや喜んだことであろうな」


「いや!みんなそこ感心すべきところじゃないでしょーー!!!その人綱吉に贋金造りやらせてるよっ!!国家をあげての紙幣偽造だよ!!!!!」


「英雄として召喚された際、儂はこの逸話を金銀改鋳というスキルにまでに昇華させたのだ。味方のクリティカル率を減少させるデメリットの代わりに自身の奥義ゲージが毎ターン上昇するようになる」


「そんなもんスキルにすんなよっ!!!」


「・・・素晴らしい。君はなんと素晴らしい英雄なんだ柳沢君」


 モリアーティ教授は拍手で柳沢を出迎えた。


「うぬは異人のようだが?」


「私はジェームズ・モリアーティ。イギリスで、君達の国呼び方でエゲレス国で商人をしていてね」


「商人(あきんど)だと?」


 モリアーティ教授と柳沢は対面で席についた。


「まずはカステラでもどうかね?おっと、時間が経って少々固くなってしまっているかね?」


「いや。頂こう。儂はカステラが大好物なのだ」


 柳沢はモリアーティ教授が差し出した山吹色のカステラを懐にしまった。


「ところで、森宛屋。江戸には同心与力に見つかりにくい船着き場がいくつかあってな」


「わざわざ官憲の見つからない場所で積荷を降ろすのかね?」


「その方が都合がよい場合もあろう?」


「確かに」


「察しがよいの。森宛屋」


「ご老中様ほどではありませんよ」


「俺こいつらと一緒に世界救うの嫌なんですけどっ!!!」


「おっ、戦国時代に到着したみたいだな。降りるぞ弥一」


 弥一は徐福に引きづられ、クロノスエクスプレスから降りて行った。

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