第27話 決戦前夜
「そうか。バルキリーの軍勢によって君達が助力した徳川軍は撤退を余儀なくされたのか。それは残念」
クロノスエクスプレスに戻って来た弥一から報告を聞いたモリアーティ教授はさほど残念そうな口調でなくそう答えた。
「いやそんなに他人事のような口ぶりしてないでもちっと今後の心配とかしてくださいよ。豊臣に勝てるところだったに完全ににげられちゃったじゃないですか」
「問題ないさ。豊臣との決着はもともと1615年の大阪城で行われるはずだ。それにバルキリー襲来は悪い事ばかりでもない」
「敵味方無差別に襲ってくる連中がですか?」
「実は豊臣勢は忍者を家康の支配地域、江戸近郊の農村に放って村を襲っていたんだ」
「秀吉の奴そんなセコイ真似してたのかよ。まるでゴブリンみたいだな」
「しかしバルキリーが来たので豊臣方の忍者が現れるとバルキリーが現れ、退治してくれる。今では天女神社と言って弓矢や槍を持った天女の像を祭る仏閣が立てられる始末だ」
「元からそういうのありそうですね」
「連中の習性もおおむね判明した。戦場に現れて兵士を襲う。だがそれ以外は襲わない」
「それが問題なんでしょ?」
「その通り。戦場にいなければ兵士は『襲われない』んだよ。移動中の兵士は襲われない。何しろ戦っていないからね。よって補給や、防御の為の砦や城の構築作業は順調だ。豊臣の忍者によって焼き払われた農村の復興も然り。それらは徐福君がやってくれているよ」
「徐福が?」
「彼は本来戦闘より内政が得意な人間でね。攻撃魔法バンバンというタイプじゃないんでああいう仕事には向いているんだ。さて、そろそろ1615年の大阪城だ。覚悟はいいかね?」
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