第35話 エピローグ
クロノスエクスプレス食堂車内。テーブルについていた弥一の前に玉手箱が置かれた。なんかお札が張られている。
「これは淀君が持っていたものだ」
モリアーティ教授が説明した。
「開けてみてくれ」
「開けたらいきなりジジィになるんじゃねぇだろうな?」
「なら、このガスマスクを使うかね?」
ガスマスクをかぶってから弥一は玉手箱を開けた。
中に入っていたのは毒ガスでも妖怪でも小判がザクザックでもなかった。それは真っ黒なスマートフォンである。
「こいつは・・・」
「おそらくは秀吉が持っていたスマートフォンだろう。彼が寿命で死んだ後淀君が保管していたようだが。なんとなく危険そうだと感じて使用せず、こうして箱に入れて封印していたようだな。もっとも、多少の悪影響は受けていたかもしれんが」
「触れても大丈夫なのか?」
「もしだめならその時点で我々は全滅だ。安心して触りたまえ」
弥一は暗黒スマートフォンに触れた。
シュウウウウウウウウウウウ・・・・
真っ黒なスマートフォンは徐々に色が落ち、真っ白になった。
「どうやら浄化に成功したようだな。回収されたスマートフォンをどのように利用すかは君の判断に任せる」
「以外に簡単なんだな」
「暗黒スマフォも除去されたし、秀吉も倒した。時空歪曲点も徐々に縮小し、人類の歴史本来のあり方に戻っていくはずだ。豊臣が東アジアに帝国を造られるような誤った歴史は造られず、徳川による300年の平和が築かれる。政宗は仙台藩に72万石の領主として。お六の方も徳川と他家の縁を取り持つ婚姻をする事になる」
「でも喜連川死んでるよね?」
「まぁ彼は例え歴史が修正されたとしても運命は変わらないだろう。朝鮮半島に渡らず病死。といったところかな」
「ともあれ君の初めての任務は終了だ。次の作戦に備え体を休めて英気を養うのもいい。仲間と鍛錬に励むのも、或いは自分自身を鍛えるのもいい。まぁできる限り君が死ににくなるよう努力は怠らない事を私としてはお勧めしよう」
「訓練ねぇ。シュミレーターで筋力とかつくのかなぁ?」
「その気があるなら仁老師にでも頼んでみるといい。彼はそういうのが得意だそうだからな」
「ん?あの無料ガチャで出した爺さんか?徐福とかじゃなくて?」
「このクロノスエクスプレスにはコンピュータールームやレーダー機器が備え付けられていてね。私や徐福君は特に用がなければ地球のどこかで発生するであろう時空歪曲点を観測しているのだよ。では失礼」
そうしてモリアーティ教授は食堂車から去って行った。
モリアーティの時間管理列車 虹色水晶 @simurugu
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