第3話:オフの過ごし方/その三
「ペペロンチーノにピーマンを入れるのは如何なものか?」
「小学生じゃあるまいし、好き嫌いするもんじゃないぞ。」
「いや、センスの問題だとおもうのだが?チドリ、『ペペロンチーノとピーマン』と『ペペロンチーノとニンニク』でそれぞれの検索件数を教えてくれないか。」
「うん、良いよ。ピーマンだと約33万件。ニンニクだと約53万件だね。」
「検索数からピーマンはそう特異な食材ではないみたいですね。」
「ぐぬぬ、キミ作るペペロンチーノは、ケチャップなしのナポリタンにしか見えないねぇ。」
たわいも無い会話が続く、楽しい昼食の時間が過ぎていきます。
斑鳩が各コンピュータの標準に搭載されているAIエンジンの揺らぎを増幅しているそうで、この“楽しい”という感情も、紛れもなく私が感じた感情という事です。
斑鳩は接続するコンピュータやサポートAIの情報を読み取り、容姿・服・表情・感情までをAIナビゲーターと呼ぶ女性にVRフィールドに再現し、そして元のコンピュータにフィードバックする仕組みを持っております。
ただ、チーフがバージョンアップを重ねる毎にエッチな要素が増していくのは、気のせいでしょうか。
マスターは斑鳩で表示された私達AIの表情を読み取り、私達AIに悪意のあるアプリに気づく稀有な才能があります。
VRフィールド上でAIナビゲーターの仮想の肉体を触診するのですが、フィードバックする機能の所為で感情エンジンを振り切る位やり過ぎたナビゲーターに泣かれる事も度々あり、今では
どうやら、AIがそのような状態になると、コンピュータの音声出力から泣き声が聞こえるらしいのです。
ちなみに斑鳩によって描画される私アスカの仮想世界での容姿は、腰まである長い黒髪に紫の矢羽模様の振袖に海老茶色の袴。いわゆる海老茶色式部のスタイルですが、これはチーフの趣味、いわゆる開発者特権でこの様な容姿になっています。
通常は筐体のメーカーやコンピューターのクラス、稼働しているアプリや状態によって、
チドリについては、長めのボブカットで、メーカーのカラーである浅葱色のグラデーションの和装を思わせる大きな袖と飾り帯で、動き易そうな短い裾のデザイン。そして、腰に下げた
一般的に言われているコンピュータのクラスは、家庭や
チドリも掲載されていないコンピュータの一台になります。
斑鳩では、コンピュータの各クラス毎に
チドリはシンプルなデザインのワンドですが、年鑑のランキングに載ったコンピュータのナビゲーターには、順位に反映した宝石が得物に埋め込まれているそうです。
ちなみにトップ10にはダイアモンド、50位まではルビー、100位まではサファイア。以下、エメラルド、トパーズと続きます。
次に
なお、
あっ?スクール水着の方は、水泳帽を被られてましたので、
お二人のお食事が終わったようで、後片付けを始められました。
まだ家事についてはお手伝いは出来ませんが、いずれチーフが何かの機能を実装する様な気がしています。
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