概要
関西でも阪神大震災があり、自身大変な時期を過ごした経験があります。
それでもテレビで見た東北大震災には大変な衝撃を受けました。日本で大変なことが起こったのだと思ったものです。
地震の規模だけならあまり変わらないのかも知れません。しかし阪神大震災ではなかった巨大津波の発生や原発事故による被害の拡大は、過去日本が経験をしたことのないものでした。複合型国難と言えるのではないでしょうか。
そんな感想を持ちながらも、その時の私には他人事でしかありませんでした。
他人事で過ごした数年後、不思議なことに他人事ではなくなってしまったのです。
そんな経緯を思い起こしながら、そしてフィクションも交えながら綴ってみたいと思います。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!来年で10年を迎えます。作者みたいな方々が復興を支えているんですね。
ずっと以前からフォローしていたんだが、連載中の作品は読まないようにしているので、結構な期間、待っていた。
でも、我慢できなくて、読み始めてしまった。遅筆を責める積りは無くて、待ち遠しかったと伝えたいだけです。
読み始めると、当然ながら、突然のお預けを喰らうのだが、それなりに福島の復興事業が分かって興味深かった。
「興味深い」とは不謹慎な言葉だけれど、私も作者と同年代。週末だけ現地にボランティア、と言うふうには体力と意気が追い付かない。
復興に関わっている方々には頭が下がります。勿論、住民の方や避難民の方の苦労にも頭が下がります。
個人的に最も希望を持ったのは、除染作業には畑の手入れも含め…続きを読む - ★★★ Excellent!!!私小説的ハーフフィクション
日当を目当てに除染作業員になった主人公による泥臭い日常。
文章が巧く、同僚として出てくる人々の時折見せる荒々しさが、主人公が身を置く肉体労働の現場に集ってきた人々の存在をリアルに感じさせてくれます。
哀愁ある中年男性が主人公の物語はカクヨムでは異質なのではないでしょうか。しかし、一話一話の長さも丁度よく、安定した表現力も相まって、ウェブ小説の中ではとても読みやすい良心的な作品だと思いました。
ポスト原発文学というにはあまりにも私的で、しかも虚実入り乱れている作品という事になっている。でも作中で描かれるような個人達の存在なしには、現実の全ての出来事は起こりえない。
除染作業員…続きを読む - ★★★ Excellent!!!とある労働者の真実――彼の人生にフクシマがどのように関わったのか
拝読する前は、未曾有の災害に見舞われたフクシマという地を中心に、そこで働く除染作業員の生活をドキュメンタリータッチで描いたような作品かと思っていた。
しかし読み進めてみると、そういう要素ももちろんあるのだが、むしろ一人の労働者の生活を切り口にして、彼の人生にフクシマがどのように関わっていったのか……というのがこの作品のエッセンスであることが解かる。
序盤は、フクシマで働く事になる前の、関西のコークス炉での出来事が数話に渡って描かれる。
自ら“炉上生活者”と揶揄しながら働く、苛酷な労働条件。そこで同僚から齎される、フクシマの除染作業員という働き口の話。環境面や給与面など、主人公には魅力的に映…続きを読む