第38話 仕事の後は……
その日は、その現場の中の一区画を刈払いと集草だけで終わった。
ブルーシートの上に草を詰め込んだフレコンを並べ、その上に更にブルーシートを被せて、最後にそのブルーシートが飛ばないように周囲をトラロープでぐるぐると締め上げる。
いわゆる『仕舞い養生』あるいは『飛散養生』と言うやつだ。
仕事が終わり宿舎に帰ると、俺はまずテレビをつける。除染作業員は世間との接点が極めて少ない職業で、テレビからの情報は自分が今、日本で生きているのだという実感を与えてくれた。
特にニュース番組は、世の中から隔絶された世界にいる俺達にとって、貴重な情報源なのである。バラエティー番組も時には渇いた心を癒してくれる。
しかし連続ドラマだけは、何故か見る気にならなかった。昔は何を差し置いても見ていたのに。
まず、年齢と共に根気が無くなったというのも理由のひとつだろう。もうひとつ理由があるとすれば、あまりにも自分の境涯とかけ離れてしまったドラマの世界に、共感できなくなってしまったためだと思われる。
夕食の時間がくればテレビを切り上げて、俺は食堂に向かう。
食堂ではいつも、厨房に近いテーブルの一番端が俺の指定席である。隣には橋田さん、その向かいには浜田さん、その隣には他の会社の人。俺はその人のことを何も知らないが、何故かいつも同じメンツだった。
浜田さんは、その人といつの間にか懇意になっていて、仲良く会話をしながら食事をしている。
橋田さんも浜田さんと仲が良いようだ。
「松田さん、俺は誰とでも直ぐに仲良くなれるんですよ」
浜田さんは自慢そうに、そう言って俺に説明してくれた。
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