第40話 仲違い
朝、思いがけないトラブルがあったものの、その日の作業は順調に進んだ。
俺達一般作業員が例の通りゼオライトや化学肥料や牛糞を撒いている間に、武田さんと南田さんがフレコンの線量を測り、識別タグを付けながらフレコンの側面に白マジックで記入をしていく。
その後、ユニックの酒田さんと玉掛者である藤田さんが、トラックにフレコンを積み込んで仮置場へと運搬する。
恐らく明日になると思われるが、兄やんがその農地に耕運機をかける。これが一連の流れになっていた。
何はともあれその日の仕事を無事に終えることができ、俺は胸を撫で下ろしながら宿舎に帰った。
俺が、いつも通り宿舎の食堂のいつも通りの場所で夕食を取っていると、後からいつも通り橋田さんと浜田さんがやって来る。
ところが、その日はいつも通りでないことがひとつあった。
いつもは浜田さんの隣に名前も知らない他の会社の人がくるのだが、その日はこちらには見向きもせず少し離れた他のテーブルに座ったのである。
「浜田さん、今日はあの人こっちに来ないのですかね?」
俺は素朴に疑問に思ったので、そう浜田さんに訊ねてみた。
「知らねーよ、あんなやつ」
何故か不機嫌そうな返事が帰ってくる。どうやら仲違いをしたらしい。
前に『俺は誰とでも直ぐに仲良くなれるんですよ』と言っていたが、冷めるのも早いようである。
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