第42話 工期の終り
正田さんの、ボヤキなのか自慢なのか分からないような話を懸命にスルーしている内に、全体朝礼が始まった。
いつも通りラジオ体操をした後に一次会社の代表が、それぞれ本日の作業地域、作業内容、作業人員数、安全注意事項等を発表する。
その後にJV からの連絡事項や訓示があるのだが、その日は安全衛生責任者の有田さんが訓示を垂れた。
その内容に俺は愕然とする。
「この現場も三月末までとなっていますが、三月二十日には市に受け渡しをしなければなりませんので、実作業は二月二十日位が目処になります。後少しとなっていますが、気を引きしめて事故のないようにお願いいたします」
『えっ、三月末? 三月二十日? 二月二十日?』
それでは十一月末に入場したばかりの俺達は、三ヶ月足らずしか働けない計算になる。少なくとも一年位は続くものと思っていた俺は、完全に宛が外れてしまった。
後二ヶ月以内には、次の仕事を探さなければならない。折角清水の舞台から飛び降りる思いで福島に来たのに……。俺は半端ない不安に襲われた。
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