緑茶

伝奇のようでもあり、愛の話でもあるような、此岸と彼岸の話でもあるような。ふわふわした不思議なお話でした。じっとりとした描写が真に迫りますが、それでも生と死が曖昧になっていくように感…続きを読む

じっとりとした世界観の衣でくるんだ、あくまでピュアな姉妹のお話でした。おばあちゃんの視点で読んでみると、また違った見方ができそうですね。よかったです。

明らかに異常な世界ではあっても、平易で淡々とした一人称、そして過去形で語られることにより、「そういうことだ」と思わせられてしまう。読み終えたあとぞくぞくするのは、爪、にフォーカスし…続きを読む

どうかこの投稿を通じ、貴殿がなにかしらの何かを得られていますように。 救いとか幸せとかを簡単に願うのは傲慢な気がしますので、（これも思い上がりではありましょうが）貴殿の苦しみに共…続きを読む

悪夢のような描写が続く。怪奇猟奇短編として読むか、寓話として読み取るか。あるいはその両方が許されているような。かみごたえのあるお話でありました。

虚飾もなにもなく生が生のまま転がっていて、どこまでも絶望なのに、それでいてどこか熱っぽさというか、温かさのようなものが感じられて、非常に良かったです。

硬質な題材と相反するような、エモーションにあふれた物語。短いながらも、よくまとまっています。

練られた世界観、息も切らせぬほどのストーリー展開、魅力的なキャラクター。ファンタジーのおもしろさがたっぷり詰まった長編です。ややビターなエンディングも、なんというか、いい意味で「東…続きを読む

スタイリッシュ・ハードボイルド・運び屋アクションの傑作だと思います。 洒脱な語りの似合う硬質な男が、タフな日々を生きていく……言ってしまえば、そんなコトバだけに収まってしまいそ…続きを読む

美少女は美少女である。そして転校生である。主人公と日常を過ごしたりする。徐々に美少女について分かってくるが、やはり美少女なので美少女ということしか分からなくなる。ぶっとんだキャラ付…続きを読む

いや、俺は感動した。人によって見方が変わるいい作品だと思う。

この小説を表すなら、そんな言葉になるでしょうか。どこにでもありそうな、しかしあることを拒絶したくなるような現象にこそ人は恐怖を抱くものですが、これにはそれがしっかりと描かれています…続きを読む

我々が、「物語」に惹かれる理由はなんだろうか。それはいくらでも挙げられる。夜空に星がいくつもあるように、それぞれの胸に在り続けるはずだ。しかし、きっと誰も彼もに共通する理由が一つあ…続きを読む

よくこれだけ多くの話を生み出せたものだと感心した。基本フォーマットががっちり固まっていれば、後はもうどんどんエピソードが湧き出てくるということだろうか。ネジが何本も抜けたような会話…続きを読む

息の詰まるような世界観、それを描写する美しい文章。緻密に練り上げられたプロット。繊細で、それでいてほんの少し残酷な少女たちの息遣い。好きな人は凄まじく好きな世界観のはず。ずらりと並…続きを読む

冷静に狂っている。だが、おそろしさよりは奇妙なユーモアが漂っている。たとえるなら「真っ白」な小説。だがそれは清潔感の白ではなく、「空虚」の白。しかし、読み進めていくうちに、どうしよ…続きを読む

江戸川乱歩と田山花袋の濃厚なエキスを凝縮したような怪異譚。 短い物語の中に、男の歪んだ情念と、対する女たちの恐ろしい憎悪が刻印されている。ひどく残酷な物語でありながらも、どこか美…続きを読む

手に汗握るサスペンスをお求めの方には、ぜひ読んで欲しい逸品。 ハリウッド的壮大さのもとで、海外連ドラのように連綿と物語が続いていく――彼らの日常と同様に。 ひとたび読み始めれば…続きを読む

我々からすればSAN値直葬不可避な神格たちも、その裏では悲喜こもごもの日常を送っているのである。それは我ら矮小な人類からすれば、救いであるのか、それとも。何にせよ、答えを知りたいな…続きを読む

極彩色の地獄、という言葉が形容するに相応しいでしょうか。まさに悪い夢でも見ているような文体で綴られる短い物語。描写は錯綜していながらも濃く、緻密であり、読んでいるうちにぞっとするよ…続きを読む

ただ、二人が愛し合った物語。その言葉で片付けるのはあまりにも簡単で。しかし、それがどれほど難しいことであるか、厳しい現実で生きる我々はよく知っている。この、混ざりっけなしの純愛の向…続きを読む

我々を見下ろすだけと思いきやそうではなく、ここで描かれるのは我々と同じようにめんどくさがり、苦悩する一人の神の姿である。頑張れエアーノ！　負けるなエアーノ！

滅茶苦茶面白かったです。そもそも俺は牡蠣が滅茶苦茶苦手なはずなのだが……それさえも突き破るリーダビリティがありました。

濃密な描写に頭がクラクラした。積み重なるものは確かに凄惨極まりないが、どこか美しささえ感じさせる。なんとも言えない余韻も魅力の作品。

読み終わった後、ふと気づけば自分の目の前に断崖絶壁が見えるような、そんな読後感。 誰しもが抱く欲望の善し悪しはともかく、その先にあるものを恐ろしく容赦なく、ぞっとするほど素っ気な…続きを読む

あの時に起きた出来事が他人事であったことに安堵した人間はどれほど居るだろうか。かくいう僕もその一人である。しかしそれは、遠く離れた現実の末端であるからに過ぎない。そこには紛れもない…続きを読む

どこまでもゴシック。どこまでも絢爛。それでいて全体に通底するこの静けさと哀しさはなんだろう――。

「苦悩する変身ヒーロー」、そのテーマを真正面から描いた骨太の作品です。このテの作品は語れば語るほど「熱」が削ぎ落とされてしまいそうなので、多くは語りません。ただ、読んで下さい。

謎に満ちていますが、魅力的な語り口でした。もっと続きを読みたいと思ってしまいました。

シンプルに背筋が凍る。短いながらもよくまとまった一つの怪談話。誰かからの語りにすることにより深みが与えられている。これを読んだあなたも、夜、足音だけが響く時間に恐怖を感じるようにな…続きを読む

猫の魅力ってあのもふもふの有無を言わせない破壊力と何考えてるのかよく分からん不条理性の相乗効果だと思うんですよ。だからねこですといい、ホラーとの相性は抜群なわけですよ。 この作品…続きを読む

光、光、光。人工的に生み出されたそれらに囲まれた中、私達は何が真実で現実であるのか分からない状態に陥っているのかもしれない。 そんな時に現れたオーロラは、人間の中の隠されたものを…続きを読む

にゃー！！！！かわいらしい小説。小憎たらしくて、えらそうで。でもふわふわでぬくぬくのあいつ。われわれが奴らのとりこになってウン千年。奴らから主導権を握ることが出来たことが少しでもあ…続きを読む

モノが飽和し、それを手に入れる手段すら無数にある現代。人は即物的で目を引くものに惹かれてしまう。そのせいで、自分が何を大切にしているかを見落としてしまう――これは、そんな時代の寓話…続きを読む

面白かった。ただ牛乳飲む飲まないをアレコレしているだけというのに。牛乳に対する愛が滲み出ていた……オチでずっこけそうになるのもまた良し。みなさん、牛乳を飲みましょう。

　色々と身につまされるというべきか、とにかく、短いながらメタフィクションとして完成度が高い。何度も吹き出してしまった。ここまでのものを書くのに一体どれだけの経験（意味深）を積んでき…続きを読む

　ぞっとした。 　夜ではなく、黄昏時――誰そ彼時というのがいい。 　昼と夜の間、一瞬時が止まったようなあの時間だからこその恐怖という感じがした。 　工事中、というのもまたいい。そ…続きを読む

人間らしさ、という言葉がありますが、それは人間側のエゴによって生まれたものなのかもしれないですね。生まれが人間であること以上の意味は、その言葉に込めるべきではないのかもしれない。 …続きを読む

　簡勁な文章ながら、極めて奥深い世界を感じました。 　どこか、淫靡な気配さえ感じます。それでいて爽やかでもある不思議な読後感……無駄のない表現で、かつ読ませる、というのは僕自身も目…続きを読む

うまい飯と幸せな家庭。
その二つの他に何が必要というのか。

そのどちらもいまいちちゃんとしていない僕は読み終わった後、滂沱。

――明日、ぎょうざを買ってこよう。

まず、これが実体験というのが恐ろしい……短い話ですが、どこにでも発生しうる恐怖です。ぞくぞくとした読後感を得られました。 扉というのは何か違う世界につながっているものであるという…続きを読む

これは『自分の物語だ』というのが、最初に浮かんだ感想でした。 そのままこの経験をしたことはないけれど、新たな世界に呑まれ、疲弊するという感覚はおぼえがありました。誰もが経験して、…続きを読む

短いながらも心温まる良い作品でした！ はじめは老人がいい思いをする話と思っていましたが、最後には「やられた！」と感じました。幸せの形は人それぞれ、それこそ、夜空に浮かぶ星が沢山あ…続きを読む

月並みな感想になってしまいますが――この二人がこれからどういう日々を過ごしていくのか。なんだかじっと見守っていたくなりました。 今の時代だからこそ出来る話の切り口なのだなぁ、とま…続きを読む

日常から位相のズレたものというのは、ふつうはその力を発揮しない。しかし、こちらから彼岸を見つめれば、おのずから見えてくる……。 彼はトマソンの向こう側に、魅入られてしまったのでし…続きを読む